顔のクリニック金沢

COLUMN

コラム

あごの突出感を改善させるための
3つの術式

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あごの突出感を改善させる3つの術式

あごの長さや前に出た感じからくるあごの突出感、いわゆる「しゃくれ感」を改善させるためにおこなわれる骨切り術には3つの術式があります。

 

1.オトガイ形成術

2.下顎枝矢状分割骨切り術

3.上下顎骨切り術

 

変化の大きさは オトガイ形成術<下顎枝矢状分割骨切り術<上下顎骨切り術 の順です。

それぞれの特徴、メリット、デメリットについて実際の症例写真とともに解説いたします。

 

 

 

1.オトガイ形成術

あご先の部分を医学用語では「オトガイ(頤)」とよびます。あご先の形を変える手術が「オトガイ形成術」です。あご先の長さ(長く・そのまま・短く)と、前後位置(前に出す・そのまま・後ろに下げる)をそれぞれ調整できますが、希望されることが多いのは下記の3パターンです。

①長さ:短く/前後位置:そのまま

②長さ:短く/前後位置:前に出す

③長さ:そのまま/前後位置:前に出す(上の図)

このうちしゃくれ感を改善する目的でおこなうバリエーションは①です。前後位置を後ろに下げるという方法も可能ですが、実際には「オトガイ形成術」だけであご先を下げることはあまり行いません(結果がよくありません)。

 

【症例】20代女性:あご先の長さが気になる。あごを短くしたい。

かみあわせや全体の骨格に対する口元のバランスは非常によく、あご先の骨のボリュームを減らしてあごを短くするオトガイ形成術を提案しました。

手術の内容:オトガイ形成(中抜き+わずかに前進、Vライン形成、外板削除)

上記の②(長さ:短く/前後位置:前に)に相当します。わずかに前進させることでたるみを最小限にしつつ、横顔のEラインが整うように微調整しています。

メリット:かみあわせが変化しないため歯科矯正治療が必要ない。

デメリット:短縮量が大きいとたるみ感を生じることがある。神経の位置などにより短縮できる量に制限がある。

 

 

 

2.下顎枝矢状分割骨切り術

あご先だけでなく下顎全体を移動させる術式です。後ろに下げたり回転をかけることであご先のしゃくれ感を改善することができます。オトガイ形成よりも変化は大きくなります。適応は反対咬合などかみ合わせが合っていない場合です。もともとかみ合わせがぴったりあっている方は適応になりません。術後はかみ合わせが変化するため、術前、術後の矯正治療がほとんどの例で必要になります。

 

【症例】20代女性:かみ合わせの治療を受けたい。

「上下顎骨切り術」または「下顎矢状分割骨切り術」いずれもよい適応と考えられました。左右差やあごの前突感を完全に解消するには上下顎骨切り術がよいことを説明のうえ治療法をご自身で選んでいただき「下顎矢状分割骨切り術」での手術をおこないました。術前矯正をほとんどおこなわない自由診療の「サージャリーファースト法」でおこなっています。

手術の内容:下顎矢状分割骨切り術

メリット:かみ合わせの治療が同時にできる。矯正期間が短いことによって身体的、整容的負担が少ない。

デメリット:適応や移動量がいまのかみ合わせの状態によって制限される。サージャリーファースト法を適応できる例は限られる。しゃくれ感を完全に解消できない例もある。

 

 

 

3.上下顎骨切り術

上顎、下顎をそれぞれ移動させて適切な位置に固定する手術です。かみあわせが合っていても合っていなくても適応できるため最も自由度が高い手術になります。面長感、あごのしゃくれ感などを大きく変化させることができます。オトガイ形成を併用することでしゃくれ感を完全になくすことも可能です。年齢制限はありませんが、30代以上でしゃくれ感、面長感を改善させるような骨切り術では、術後のたるみ(皮膚の余り感)が必ず生じるため、アフターケアとしてのたるみ治療を検討する必要があります。ハイフ、フェイスリフトなどがよい適応です。

 

【症例】40代女性 しゃくれ感が気になる。

手術の内容:上下顎骨切り術(時計回転)+オトガイ形成(4㎜中抜き)

かみ合わせは一部合っていない状態であり、かみ合わせの調整と輪郭、顎のしゃくれ感を同時に解消する手術プランとなりました。

メリット:どんなかみあわせでも適応できる。上顎、下顎をある程度自由に希望する位置に移動させることができる。上顎の短縮などにより歯肉のみえるガミースマイルの改善など歯の見え方を調整できる。オトガイ形成を併用することでしゃくれ感を完全になくすことができる。

デメリット:手術による身体的、費用的な負担が大きい。

 

 

 

【手術の適応について】

今回ご紹介した3症例はいずれも背景や希望される変化の程度などが異なります。このため、どの術式のほうがよい、といった単純な比較はできません。そもそも各術式が適しているかを意味する「適応」がある、ないによっても治療の方針は変わってきます。

当院では形成外科および頭蓋顎顔面外科専門医がいまの状態とどの程度変化させたいかについてのご希望を伺ったうえで、必要に応じて検査や提携歯科での診察をおこない、できるだけご希望に沿った結果となるような治療法を選択いただけるよう具体的な治療プランをご提案しています。

カウンセリングは火曜日、土曜日となっています。ご予約を希望される場合はお電話でのご連絡をお願いいたします。

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. 〜 18:00 p.m.

 

 

 

【担当医について】

本コラムの症例を担当した外科医、麻酔科医はともに十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。

《外科医》 山下昌信

日本形成外科学会専門医 頭蓋顎顔面外科専門医 日本美容外科学会(JSAPS)専門医

《麻酔科医》 日高康治

日本麻酔科学会専門医

 

 

 

【費用について】

●料金表をみる

※手術費用のほかに麻酔料(全身麻酔)、検査料がかかります。

※下顎骨切り術、上下顎骨切り術は提携医療機関で入院のうえ治療をおこなっています。下顎骨切り術、上下顎骨切り術については料金表の手術費用にそれぞれ規定日数の入院費用が含まれます。

※手術方法はお一人おひとりの状態やご希望により異なります。手術を希望される場合や、費用のお見積りを希望される場合、まずは当院で担当医の診察をお受けいただくようお願いいたします。

 

【起こりうる合併症、リスク、副作用】

感染、血腫、ご自身の術後イメージと手術の結果が一致しないことがある、他

 

 

 

 

※費用はすべて消費税込みで表示しています。

※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、 術前・術後の写真を掲載しています。

 

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信