埋没法と切開法どちらが良いの?二重整形の選び方
埋没法、切開法と、それ以外のふたえ治療のなかから、自分にあったふたえ整形を選ぶためのポイントについて解説します。
目次
その他オプション①:小さい切開で埋没法よりとれにくい《部分切開法》
その他オプション②:まぶたのたるみとりですっきりと《上眼瞼徐皺術》
その他オプション③目の開きをよくしてぱっちりと《上眼瞼形成術》
●《埋没法》は二重を糸でとめるダウンタイムの短い方法
①:埋没法とは?
ふたえのラインを糸でとめる方法、自然でやわらかいラインができるのが特徴です。切開しないので腫れづらくダウンタイムが短いのが最大のポイントです。
○1点、2点、4点….
糸でとめる点の数によってふたえの形を微調整することができます。「内側まで幅広く」「外側のかぶさりもしっかり上げたい」などであれば固定する点が多いほうがいいことも。逆に1〜2点の固定で希望の形になるようならそれ以上の点は必要ありません。また、点の数が倍になったからといってもちが倍になるとはいえないので要注意、点の数が多くなればなるほど針を通す回数が増え内出血のリスクも高くなります。
○表か裏か
埋没法ではまぶたの裏から糸を通し、まぶたの表側に結び玉をつくり固定します。裏に結び玉を作るタイプの特殊な埋没法は針穴が小さく目立たない、すぐにメイクできるなどメリットも多いのですが、裏側にある糸玉で角膜に傷がついてしまったり、抜糸が簡単にできないといったデメリットもあります。
○挙筋法?瞼板法?
まぶたにある軟骨のような硬い《瞼板》にとめる《瞼板法》とまぶたを開く筋肉《眼瞼挙筋》にとめる《挙筋法》とがあります。最近では瞼板と挙筋の移行部にとめる方法を採用しているドクターが多いようです。気をつけたいのは《目もらい(霰粒腫)》ができやすい人、まぶたにしこりができやすくなるため《瞼板法》は避けるのがベター。
○結び目に要注意
結び目はきつすぎず、ゆるすぎずが自然なふたえにみえるポイントです。目を閉じたときに糸玉のところが食い込んで見えるようなら結び目がきつすぎるサイン。まぶたをささえている《瞼板》がゆがんでしまい目がコロコロするようになってしまう原因になることもあります。また、皮膚がうすいまぶたでは結び玉が透けて見えてしまうこともあるのですが、結び目の場所がわかることで抜糸が簡単にできるというメリットもあります。
②:埋没法のメリット
□腫れづらくダウンタイムが短い
□やわらかく自然なふたえラインになる
□抜糸すればもとに戻せる
③:埋没法のデメリット
□時間がたつとふたえのラインが消えることがある
□厚いまぶたではきれいなラインができにくいか不自然になってしまうことがある
□うすいまぶたでは結び玉がわかることがある
【選びかたのポイント】
《埋没法》が成功するのは薄いまぶた、クセのつきやすいまぶたです。アイプチできれいにラインができてとれづらいようなら◎。ただしうすいまぶたでも絶対にとれない方法ではありません。糸の種類や留め方などたくさんのメニューから選べることもありますが、「あなたの場合厚いまぶたでクセがつきにくい」 と思っていたよりも大幅に高額なプランを提案されたら、その場ですぐに契約せず一旦持ち帰って。
【Q&A】
Q:埋没法ではどのくらいで二重のラインが消えますか?
A:まぶたの状態によってラインが消えるまでの期間が変わります。クセのつきにくいまぶたなら数ヶ月で消えることもありますし、長い人では5〜6年もつこともあります。どのくらい持続しそうか自分で判断するのは難しいのですが、アイプチでのくせのつきやすさや、外したあとどれくらい持つかなどが参考になります。
Q:埋没法のあとメイクのできない期間は?
A:ファンデーションやチークなどまぶた以外のメイクは当日からでもできます。洗顔やメイク落としもできますがあまりまぶたを強く触らないように注意してください。アイメイク(アイシャドウ、アイラインなど)については3日間お休みが必要です。
Q:埋没法をすると他の人からみて変に見えませんか?
A:広すぎる幅やきつすぎる結び目でなければとても自然な二重ができるので変に見えることはありません。針穴もほとんどわからないくらいになおります。当日から2,3日は泣いた後くらいに腫れるので、その期間は無理な予定を入れないことをおすすめします。また、思っていたイメージと違った場合は早めに糸を取ればもとに戻すことができます。これも埋没法のメリットのひとつです。
Q:厚いまぶたですがまずは埋没からと思っています。
A:厚いまぶたはやはりしばらくすると二重の線がきえてしまう可能性が高いのですが、アイプチなどできれいにラインができるようなら埋没法で二重にすることが可能です。線がうすくなったり消えたらもう一度埋没をすることもできます。ただし、1年以内に線が消えてしまうようであれば、切開法を検討してみてはいかがでしょうか。
Q:埋没法の結び玉が気になります。
A:結び玉が気になるようなら結び玉を深いところに埋め込むことができる《部分切開法》をおすすめします。小さな切開から二重のラインを固定し、糸は透けて見えないように深いところに埋め込むことができます。裏に結び玉を止める方法もありますが、抜糸する必要がでてきた時には裏側の結膜を切開して糸玉を取る必要があり、通常の抜糸よりも大がかりな手術になってしまいます。
●《切開法》はまぶたを切開してこだわりの二重をつくる方法
①:切開法とは?
切開してふたえのラインを固定する方法。《全切開法》ともいわれます。しっかりとラインを固定できるのでくっきりとした二重ラインになり、とれづらいのが最大のポイントです。まつ毛の見え方や向きなどにもこだわればさらに理想の二重に。
○くせがつきにくいまぶた、厚いまぶたに
埋没法にあまり向いていないクセのつきにくいまぶたでも自然なふたえができるのが切開法、幅や形の自由度が高いのもメリットです。厚いまぶたでも自然にみえるようにするためには固定法がポイントになります。単純に皮膚を切開して余分な脂肪をとり、縫い合わせるだけの方法では目を閉じたとき二重のラインが食い込んでみえたり、開けたときのふたえの引き込みが浅すぎることも。ふたえのラインに《眼窩隔膜》をとめつける固定法なら、目を閉じてもくい込みがなく、目をあけるとふたえのラインが引き込まれる、ナチュラルで動きのあるふたえに。【手術方法についてもっと詳しく→】
○とれにくい二重
埋没法と比べると格段にとれにくいといえます。生まれつきの二重と同じ構造を再現する術式ならとれにくく、かつくい込みのない自然な二重に。ポイントになるのは《脂肪や眼輪筋》のボリュームを適度に減量することと、ラインを固定する方法です。また、とれにくいということは、完全にもとに戻すことができないということでもあります。《ハム目》《眠たい目》《食い込んだライン》などで後悔しないために避けるべきは《幅が広すぎる二重》と《脂肪や眼輪筋の取り過ぎ》です。
○まつ毛の見え方、向きにもこだわって
せっかく切開して二重にするのであれば、細部にもこだわって。まつ毛の付け根がみえるように、二重ラインの下のぷっくり感をすっきりさせたい、まつ毛を上向きにしたい、など希望をどんどんドクターに伝えましょう。切開法でしかできないことがたくさんあります。
②:切開法のメリット
□形や幅の自由度が高い
□厚いまぶたでもとれにくい二重に
□睫毛の向きや付け根のみえかたも調整できる
③:切開法のデメリット
□手術のあとは必ず腫れる
□元に戻すことができない
□幅をせまくする修正は難しい
【症例】
上:術前 下:術後
【選びかたのポイント】
《切開法》で成功するためのポイントは自分のまぶたにあった幅や形を選ぶこと。イメージする写真などをカウンセリングに持って行くのも良い方法です。埋没法ではラインが消えてしまいそうな厚めのまぶただと、はじめから切開法をすすめられることもあるかもしれませんが、それでも「まずは埋没から」と決めているのであれば「とれるかもしれないけどまずは埋没で」と伝えるなど、自分が納得できる方法を選んでください。
【Q&A】
Q:切開法ならラインが消えることは絶対にありませんか?
A:ラインが消えにくい方法ではありますが、絶対に消えないということもありません。手術から2週間以内に糸で固定してある部分に強い力がかかると最終的にラインが消えてしまうこともあります。手術直後は薄目にして傷のところを見ようとすると固定部分に負担がかかり外れてしまうことがありますので、避けていただくようお願いします。
Q:なぜハム目になる人とならない人がいるのですか?
A:ハム目になりやすいのは、①まぶたが厚く、②完全な一重で、③睫毛の付け根が見えていない人です。ハム目になるのを避けるためには①まぶたのボリュームを適度に減量すること、②睫毛の付け根が見えるようにすること、③瞼板につよく固定して食い込みが目立つような固定のしかたを避けることがポイントです。また、二重の幅をひろくするとハム目になりやすいこともあるので、幅を広くしすぎないというのも予防になります。
Q:ネットでは腫れている人とあまり腫れていない人がいますがなぜですか?
A:いちばん大きな違いはまぶたの厚みです。まぶたがうすいと腫れづらく、厚いと腫れやすくなります。それ以外では手術後の安静、止血剤など腫れを予防する薬を飲んだか、などによっても違いが出てきます。高性能な電気メス《高周波メス》は切開と同時に止血ができるため通常のメスよりも腫れを少なくすることができるといった違いもあります。
Q:埋没の糸は切開の時にとれますか?
A:埋没のときとそれほど幅を変えなければ、切開法の手術中にほとんどの糸が出てくるので除去できます。埋没の時と幅が数ミリ以上違う場合は糸を探さないと出てこないので、すべて除去しようとすると糸を探すための剝離(組織をはがすこと)が必要になります。剝離範囲が広くなると腫れや内出血のリスクは少し高くなります。また、裏に糸玉があるタイプの埋没法では裏側の結膜を切開して除去する必要があります。
●小さい切開で埋没法よりとれにくい《部分切開法》
①:部分切開法とは?
小さな切開からふたえのラインを固定する方法です。中の固定方法は切開法と同じです。埋没法は糸をつかって点で固定するのに対して、部分切開法ではまぶたの膜状組織《眼窩角膜》を使って面で固定するため埋没法よりもとれにくく、切開する幅が1㎝未満と小さいため切開法より腫れにくい、埋没と切開の中間的な方法です。
○比較的くせのつきやすいうすいまぶたに
部分切開法では全切開のようにまぶたのボリュームの調整まではできません。部分的にボリュームを減らすことも可能ですが、その部分だけ窪んで不自然さが目立つこともあるためおすすめしません。もともとうすくクセがつきやすいまぶたに向いている方法です。
○ダウンタイムがとれないけど切開したい
切開の長さが長くなるほど腫れの程度は強く、期間も長くなります。全切開では3㎝前後の切開が必要ですが、部分切開法は1㎝以内の切開で行うため腫れの目立つ期間は数日〜1週間程度と全切開よりも短くなります。
○埋没法で糸玉が気になる方にも
うすいまぶたでは埋没法の糸玉が目をつぶるとポコッとふくれて見えてしまうことがあります。埋没法では浅い皮下や眼輪筋内に糸玉を埋め込むためです。部分切開法では瞼板の深さまで糸を埋め込むことができるため、糸玉が目立ちにくくなります。
②:部分切開法のメリット
□腫れをおさえながらもしっかりと固定できる
□ダウンタイムが短い
□糸の結び玉が目立たない
③:部分切開法のデメリット
□まぶたのボリューム調整ができない
□幅、形の細かい調整は難しい
□線がうすくなったり消えることがある
【選びかたのポイント】
《部分切開法》が成功するのは《埋没法》と同じ薄いまぶた、クセのつきやすいまぶたの人です。埋没法よりとれづらく、結び玉が目立たない点が選ぶときのポイントです。厚みがあってクセのつきにくいまぶたでは線が消えてしまったりうすくなることもあります。《埋没法》や《切開法》に比べると《部分切開法》が良い適応となるタイプのまぶたは多くありません。この方法を選ぶときは担当医とよく相談して決めてください。
【Q&A】
Q:部分切開法でもラインが消えることはありますか?
A:二重のライン全体ではなく一部分だけの切開であるため、線がうすくなったり消えてしまうこともあります。消えてしまった場合はもう一度部分切開を受けるか、全切開で全体にしっかりとラインをつけるという選択肢があります。
Q:アイプチや埋没のときと同じ幅で部分切開すれば同じ形になりますか?
A:部分切開・全切開ともにアイプチや埋没の時と同じ幅にすると、幅は少し広く見えるようになります。アイプチや埋没のほうが線がゆるくとまっているためです。目を開けたときの幅を埋没の時と同じ幅にするのであれば、切開する幅(目を閉じたときの幅)はすこしだけ狭くする必要があります。
Q:金額もそれなりにしますし、できれば上手い先生に手術してもらいたいです。どうやってクリニックや先生を探したら良いですか?
A:形成外科専門医、美容外科専門医(JSAPS)は一定のトレーニングを受けた証といえます。そのなかから何件か診察を受けてみて先生のお話を聞いてみられることをおすすめします。受診すればインターネットなどに公開されていない症例写真を見られることもあります。最終的には費用や通いやすさなども含めてご検討ください。
●まぶたのたるみとりですっきりと《上眼瞼徐皺術》
①:上眼瞼徐皺術とは?
《上眼瞼徐皺術(じょうがんけんじょすうじゅつ)》とはまぶたのたるみとりのことです。たるみの程度や希望する二重の幅、さかまつげの有無によって切除する皮膚の量(幅)が変わります。
○前よりも狭くなってきた二重に◎
まぶたのたるみを感じるのは早くて30代後半から40代ごろから。見た目の変化としては二重の幅が前よりせまくなってきます。たるみを解消しようとおでこの筋肉に力が入って眉と目の間が広くなっていくこともあります。もとの二重幅に戻したい、もとよりも少し広くしたいなどの調整が可能です。
○まつ毛の付け根のもたつきをすっきりと
まつ毛の付け根部分が隠れていると目もとの印象がぼやけてアイメイクがしづらいことも。たるみとりをすることで睫毛の付け根のもたつき感を解消し、すっきりとした目もとになりメイクもしやすくなります。
○二重とさかまつげを同時に治療
20〜30代でそれほどたるみがなくても、一重まぶたであればまつ毛ぎわの皮膚が余ってまつ毛の付け根にかぶさり逆まつげの原因になっていることがあります。この場合、ごく少量だけ皮膚を切除して睫毛の付け根が見えるようにすることで二重とさかまつげを同時に治療することができます。
②:上眼瞼徐皺術のメリット
□たるみがなくなりすっきりとした目もとに
□さかまつげも改善して睫毛の付け根が見えるようになる
③:上眼瞼徐皺術のデメリット
□切開手術のため手術のあとしばらくは腫れる
□切除した皮膚をもどすことはできない
【選びかたのポイント】
《上眼瞼徐皺術》が成功するのは2タイプのまぶたです。
①皮膚がうすくたるみによって二重がせまくなってきたタイプ
このタイプのまぶたでは余っている皮膚をとりのぞくことで自然でハリのある若々しい目もとになります。皮膚の厚いまぶたでは皮膚を切除することで腫れぼったさがすこし目立ってしまうこともあるので《眉毛下切開法》でのたるみとりが合っていることも。
②さかまつげのある一重まぶたタイプ
1.5-2㎜程度の皮膚切除とまぶたのボリューム調整で睫毛ぎわの見えるすっきりとした目もとに。このタイプで多めに皮膚をとってしまうと二重の上の乗っかっている感が強くなり、二重の線も深く濃い印象になってしまうため注意が必要です。
【Q&A】
Q:皮膚はあまりとらないほうがいいと聞いたことがありますがホントですか?
A:まぶたの状態によります。①まぶたの厚いタイプ、②2-30代でそれほどたるみがない、③逆にたるみが1㎝以上ある、などの場合は、皮膚をとることで腫れぼったいまぶたになってしまうこともあるため、担当医とよく相談してください。
●目の開きをよくしてぱっちりと《上眼瞼形成術》
①:上眼瞼形成術とは?
目の開きを改善して楽に目が開くようにする《挙筋前転法》だけでなく、《たるみとり》《二重形成》まで同時におこなうことでまぶたの《機能》と《見た目》を改善させる手術です。
○目の重さ、開けにくさを解消
まぶたが重い、開けづらいといった症状はまぶたそのものが下がる《眼瞼下垂》または皮膚があまってかぶさってくる《まぶたのたるみ》が原因です。両方が原因となっているのであれば《上眼瞼形成術》で同時に治療することが効果的です。
○左右のバランスにもこだわって
バランスのチェックポイントは3つ、《目の開き》《二重の幅》《二重の形》です。目の開きは手術中の拡大写真をつかったバランスのチェックが有効です。黒目の上ギリギリまで〜すこし控えめになど微調整が可能です。二重の幅・形はデザインが重要です。左右同時に治療することで細かいバランスの調整が可能です。
○変化を見越した適度なたるみとり
目を開きやすくする《挙筋前転法》によって、眉毛の位置が自然と下がってくることがあります。眉が下がるとまぶたのたるみ具合も変化するため、この変化を見越した適度なたるみ取りが必要です。
②:上眼瞼形成術のメリット
□複数の手術が同時に受けられる
□見た目と機能が同時に改善される
□左右のバランスを合わせやすい
③:上眼瞼形成術のデメリット
□切開手術のため手術のあとしばらくは腫れる
□費用が高額
【症例】
上:デザイン 中:術前 下:術後
【選びかたのポイント】
《上眼瞼形成術(眼瞼下垂)》で成功するためのポイントは2つ、①自然にみえる二重の幅・形を選ぶこと、②皮膚を取り過ぎないことです。二重の幅、形、黒目の見え方など、イメージする写真などをカウンセリングに持って行くのも良い方法です。
【Q&A】
Q:20代ですが眼瞼下垂でしょうか?
A:20代であれば加齢性の《腱膜製眼瞼下垂》とは考えにくく、生まれつきまぶたが下がっている《先天性眼瞼下垂》や、一重まぶたで皮膚がかぶさって目が下がってみえる《偽性眼瞼下垂》の可能性が高いと思われます。診断は眼科、形成外科で受けることができます。黒目の瞳孔が隠れる中等度以上の眼瞼下垂では保険適応での治療が可能な場合もあります。まずは一度ご相談ください。
Q:前転するのは挙筋腱膜のみですか?それともミュラー筋も前転しますか?
A:目を開ける力がしっかりあるようなら、まぶたを開ける筋肉《眼瞼挙筋》の端にある《挙筋腱膜》のみを前転します。目を開ける力が弱いときは筋肉の端までたくし上げて固定する《挙筋短縮(前転)》をおこなうこともあります。さらに力が弱い場合は《ミュラー筋前転(またはタッキング)》をおこなうこともあります。瞳孔がかくれていない軽度眼瞼下垂であれば《挙筋腱膜の前転》で十分な結果が得られるため、ミュラー筋の前転は必要ありません。
Q:ADM(ミュラー筋離断)はしますか?
A:ADM(Advanced Desensitization of Mechanoreceptors in Muller’s muscle)といわれる《ミュラー筋》への負荷を減らす手術については基本的に行っていません。ADMは《眼瞼痙攣》というまぶたが開けられなくなる病気に適用される治療法で、美容目的の《上眼瞼形成術》では必要ないためです。
Q:二重の幅や形は希望通りになりますか?
A:二重の幅、形についてはできるだけご希望に沿った治療を行います。ただし、《上眼瞼形成術》では《目の開き》《皮膚の余り具合》《眉の位置》など変化する部分が多くなります。どれか1つでも変化すると二重の幅、形が変わりますので、最終的な結果を正確に予想することは難しく、一定の割合で希望より狭くなってしまうことはあります。希望より広くなることはまれです。狭すぎる、広すぎるなどの場合は修正が可能ですのでご相談ください。
Q:どれくらい腫れるのかわからないので心配です。
A:二重の切開法やたるみとりと腫れの程度はそれほど変わりません。目の開きを調整するために切開法などよりも少し時間がながくかかりますが、当院でおこなっている《高周波メス》を使った手術では切開と同時に止血ができるため腫れづらく、傷あとも目立ちにくいのがメリットです。
●埋没法と切開法どちらが良いの?
ふたえの治療には 《埋没法》 《切開法》 以外にもいくつかの選択肢があります。
顔のクリニック金沢のドクターカウンセリングでは、手術を受けるかどうかや、どの方法が合っているのかわからず迷っているときは、一旦持ち帰って考えていただくようお話ししています。
手術を決める前に外科医、眼科医、ご家族、友人、その他相談できる人によく相談してください。自分が受ける治療についてよく理解し、納得したうえで 「これがいちばんいい」 と思える治療を受けてください。
【費用について】
※手術費用以外に診察料(初診料3300円、カウンセリング料含む)、術前検査費(11,000円)がかかります。
※手術費用には以下が含まれます。
手術手技料、麻酔、極細針や糸などの材料費、内服薬(止血剤2種類、抗生剤、鎮痛剤)、ガーゼや目元用コットンなど術後ケア用品、抜糸の処置料、術後半年までの検診
※手術方法や腫れなどの経過はお一人おひとりの状態やご希望により異なります。手術を希望される場合や、費用の見積を希望される場合、まずは当院で担当医の診察をお受けいただくようお願いいたします。
【起こりうる合併症、リスク、副作用】
出血、感染、薬剤のアレルギー、ドライアイ症状の一時的な悪化、ご自身の術後イメージと手術の結果が一致しないことがある、他
【担当医について】
このページの症例を担当した外科医は十分な経験と知識を有するエキスパートに与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。
《外科医》 山下 明子
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAPS)専門医
お問い合わせ・ご予約
TEL 076-239-0039
10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.
※費用はすべて消費税込みで表示しています。
※厚生労働省のガイドラインに準拠し治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、 術前・術後の写真を掲載しています。
【学術活動】下顎輪郭形成でみる手術手技の実際
第40回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会
パネルディスカッション4
【顔面輪郭形成術(Facial contouring surgery)の実際】
テーマ:輪郭3点(頬骨と下顎の手術)において、安全でよい結果を得るための手技や 骨切りのデザインについて。
《演題/演者》
◆安全に良い結果を得るためのFacial contouring surgery: 本日の焦点 リラ・クラニオフェイシャル・クリニック 宇田 宏一
◆Facial contouring surgery 私の方法 ヴェリテクリニック 藤本 雅史
◆下顎輪郭形成でみる手術手技の実際 金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆How to design the face to obtain ideal outcome in facial bone contouring surgery THE PLUS Plastic Surgery(ザ・プラス美容外科) Dr.Kim, Teak-Kyum (キムテッキュン)
《概要》
下顎輪郭形成でみる手術手技の実際
金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆診断について
3DCT(骨格の立体画像)による術前診断が必須。
◆オトガイ骨切り(中抜き、あごを小さくした場合)の症例呈示
必要最小限の切除・削除量にとどめることで十分に小顔化をはかりつつ、たるみを予防することができる(骨を多く取り過ぎるとたるんでみえる)。中抜き後の両端に生じる段差は下顎縁がなめらかになるよう削って整える。
◆オトガイ形成(jumping genioplasty、あごを前に出した場合)の症例呈示
※Henry K. Kawamoto, MD, Continuing Medical Education Examination—Facial Aesthetic Surgery, Osseous Genioplasty Aesth Surg J. 2000より引用
jumping genioplasty(オトガイの骨片を下顎骨の上に乗り上げるようにして大きく前に出す方法)により著しい少顎の症例でも大幅な前方移動が得られる。固定はステップ状にベンディング(曲げた)したプレートを使用し、オトガイの骨片を安定させるため(上にはねあがらないように)外側をスクリューでブロックする必要がある。
◆下顎角形成(エラを小さくした場合)の症例呈示
画像解析ソフトを用いたシミュレーションにより患者と治療ゴール(どこまでエラをちいさくしたいか)を共有することが大切。耳垂基部(耳たぶの付け根)から1.5㎝程度下に下顎角(エラの角)がくるようにすることで、自然な形態を保つことができる。また、下顎縁の形態をわずかに下方に凸にすることでより自然な形態となる。実際の手技についてはあらかじめデザインに合わせて作成した術中ガイドに沿ってピエゾサージャリー(超音波骨切削機)で骨切りラインを浅く削り、これを目安にしてレシプロケーティングソーで骨切りをおこなっている。
三次元モデルから作成した術中ガイドを使用することでデザイン通りの骨切りが可能となる。術中ガイドはギプス等に用いられるアクアプラストT(熱可塑性樹脂)を使用することで簡便に作成できる。
さらに外板(骨の外側の硬い部分)を削ることによりあごの横幅を減量することができる。
◆問題症例の呈示(他院症例)
①下顎角が欠損し二次角が目立ってしまった例
デザイン通りに骨切りするためにはやはりガイドが必要。また、オシレーティングソーでの骨切りでは骨切りラインが頭側・前方へずれやすいので注意が必要。
②下顎縁の過剰な切除例
骨切除量を神経が温存できるギリギリまでにしても軟部組織(頬や顎下のお肉)のボリュームなどにより、たるみ感、不自然さだけが目立ってしまうことがある。下顎縁の形態が上に凸になるとさらに不自然となる。
◆頬骨縮小術の症例呈示
現在行っている骨切りデザインについて(L字型骨切り)。
《ディスカッションの概要》
・頬骨縮小術
デザイン、固定方法、頬の下垂(たるみ)予防について。
・下顎骨形成術(下顎角形成、オトガイ形成)
デザイン、Vライン形成の限界、外板削除(切除)の是非、出血への対策について。
※費用や合併症、ダウンタイムについては下記のコラムをご参照ください。
《関連コラム》
下顎角形成 自然な変化のエラ治療
【症例】下顎角形成術とダウンタイムについて
【症例】オトガイ形成術とダウンタイムについて
もっとも良い
「目の下のくまをとる方法」
3つの目の下のくま
《目の下のくま》には3つのタイプがあります。
1.茶くま
2.青くま
3.影くま(黒くま)
このうち、手術でとることのできるくまは 《影くま(黒くま)》 のみです。目の下の影くま取りは 《下眼瞼形成術(LOWER LID BLEPHAROPLASTY)》 と呼ばれ、20世紀後半からさまざまな方法で行われてきました。また最近ではあたらしい技術による切らない影くま治療も選べるようになっています。
影くま治療の歴史と、もっともよい 《くまを取る方法の選び方》 について説明します。
創生期
1970年代に最初のくま取り手術がおこなわれました。その方法はシンプルに 「目の下を切開して皮膚や脂肪をとりのぞくだけ」 というものでした。しばらくすると効果がそれほどつづかないことがわかってきました。
また脂肪をとりすぎると 「目の下がくぼんでやつれたようになってしまう」 ことや、皮膚をとりすぎると目の形が変わってしまったり、下まぶたの外反(あかんべえの状態で戻らない)などがおこるといった問題も出てきました。
Loeb法
1980年代になると皮膚や脂肪だけをとる方法の欠点をおぎなうため、目の下のハの字のシワや半円形のくぼみ 《tear trough(=なみだの溝)》 のところに脂肪を移動させてフラットにするという新しいアプローチが試みられました。
この方法は、Dr. Loebがはじめに発表したものですが、有名な美容外科医であるDr. Hamra(ハムラ)にちなんで日本では 《ハムラ法》 と呼ばれています。また、同じ手術を最近は 《眼窩脂肪移動術》《脂肪再配置》ということもあります 。
具体的な手技についてもDr. Loebはたいへん詳しく、わかりやすいstep-by-stepのイラストとともに今でも色あせないコンセプトを提案しています。1981, Loeb R. Clin Plast Surg. 8 より引用
“皮膚を”切らない術式
2000年前後には多くの形成外科医が皮膚を切らずにくまをとる術式を発表しました。それまでは下まつげのキワを切開していたところを、まぶた裏の 《結膜》 を切開しても同じようなくま取り手術ができることがわかってきたためです。
皮膚を切らないため傷が目立たないだけでなく、ダウンタイムが短い、外反(あかんべえの状態)などの合併症を少なくできる、など多くのメリットがありました。今では多くの形成外科医がこのアプローチを採用しています。皮膚を切らない術式には大きく分けると脂肪をとる 《脱脂》 と、リガメントを外して脂肪を移動させる 《裏ハムラ(下図)》 があります。また、それぞれ治療のオプションとして 《脂肪注入》 があります。
これまでの多くの研究結果から、目の下のハの字のシワ部分にある靱帯《リガメント》 を外すことが目の下をフラットにするための最大のポイントと考えられています。いまではこのリガメントの位置や形についても詳しくわかってきています。
2017, Wong CH. Plast Reconstr Surg. 140 より引用
《顔のクリニック金沢》 では米国UCLAでDr.Kawamotoからリガメントを外して脂肪を移動させる 《経結膜下眼瞼形成術(=裏ハムラ)》 をまなび、これを応用して治療をおこなっています。Dr.Kawamotoは決して広くはない結膜切開から素早く確実に脂肪を固定するため皮膚に糸を引っかける方法をとっていましたが、ときに一時的ではありますが、えくぼのようなくぼみが目立ってしまうことがありました。
2003, Kawamoto HK. Plast Reconstr Surg. 112 より引用
現在は手術用ヘッドライトやルーペを使うことで結膜切開のせまい術野でも縫合するところをしっかりと見ることができます。また、マイクロサージャリー用の繊細な器具をつかうことで皮膚に糸をかけなくても正確に内部で脂肪を固定することができるようになり、ダウンタイムのさらなる軽減につながっています。
【症例】下眼瞼形成術(経結膜法)
上:術前、中:1週間後、下:術後1か月
上:術前、中:1週間後、下:術後1か月
上:術前、中:1週間後、下:術後1か月
※合併症やリスク:薬剤のアレルギー、出血、感染・異物反応、結膜充血、結膜浮腫、眼瞼内反、眼瞼外反、複視
※費用(自由診療)
※厚生労働省のガイドラインに準拠し費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真を掲載しています。
本当に切らないくま治療
結膜を切開する手術のことを皮膚を切らないという意味で 「切らない治療」 と称していることもあるのですが、結膜すら切らない本当の切らない影くま治療というのもいまでは可能になっています。
いちばん手軽なのは注射治療です。《ヒアルロン酸》 を注入して軽いくまを目立たなくすることができます。腫れなどのダウンタイムが短いかほとんどないこと、変化がマイルドなため治療を受けたことが他の人にわかりにくいのが最大のメリットです。ヒアルロン酸だけで完全にくまを消すことは難しく、無理をすると逆に不自然になってしまうこともありますので担当医とよく相談して治療を受けられることをおすすめします。ヒアルロン酸の持続は半年〜数年です。
機械を使った影くま治療は、肌のハリを改善することでくまを目立たなくする効果が期待されますが、当然効果は手術やヒアルロン酸治療におよびません。どうしても手術や注射はしたくないという場合に限られた選択肢となります。皮膚をターゲットにしたラジオ波治療 《RF》 と、超音波治療 《HIFU(ハイフ)》 があります。米国 《FDA》 が認めた機種はRFの 《サーマクール》 、HIFUの 《ウルセラ(下の写真)》 のみです。いずれもダウンタイムがほとんどなくすぐにメイクできることが最大のメリットです。
このほかに、トリクロロ酢酸などをつかったピーリング、レーザー治療、トレチノイン治療などの肌の弾力を回復する治療にもくまを目立たなくする効果が期待できます。このようなお肌のハリ改善治療については一度で目に見えた効果を得ることはむずかしく、また完全にくまを消すこともできませんが、続けていくことで多少の改善効果は期待できます。
もっとも良い目の下のくまをとる方法
それぞれに長所短所があり、人によって求める効果や受け入れられるダウンタイムはちがうため 《もっとも良い方法》 を一つに決めることはできません。それぞれの特徴をよく理解したうえで、たくさんの方法からぜひご自身に合う方法を選んでください。
クリニックで相談するときのポイントは、したいこと、したくないことをはっきりと担当医に伝えることです。治療法についての提案を受けたら、それぞれの治療法についてダウンタイム、効果、持続期間、費用などをよく確認してください。自然で元気に若々しく見える目もとを取り戻し喜んでいただくために、あなたにとって《もっとも良い方法》をお選びください。
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