顔面神経麻痺後遺症のボトックス治療とリハビリテーション
【顔面神経麻痺(まひ)とは ?】
顔の表情をつかさどる《顔面神経》がはたらかなくなることで顔の片側がうごかせなくなる《顔面神経まひ》、毎年100万人あたり300人ほどの方がかかるといわれており、めずらしい病気ではありません。ヘルペスウイルスの一種による《ベルまひ》、水痘ウイルスによる《ハント症候群》があります。
まひになってすぐの治療は耳鼻科や神経内科が担当します。形成外科はまひによる顔のゆがみや回復してからの《後遺症》にたいする治療を担当しています。
顔面神経まひの後遺症に対する《ボトックスⓇ治療》とリハビリテーションをくみあわせた治療について説明します。
【顔面神経まひの後遺症】
①顔のまひ
時期:まひになった直後から
神経からの刺激がなくなるため顔の片側の筋肉がうごかなくなるため左右の表情の差がとても目立ちます。
②筋力低下
時期:発症後数か月〜
神経が再生して筋肉が動きはじめますが、数か月うごいていなかった筋肉はやせてしまっているため筋肉の力はとても弱く、左右の表情に差がみられます。
③病的共同運動
時期:発症後4か月目〜
神経が再生するときのエラーによって口元や目元のが意に反してうごいてしまう現象です。口を動かすと目を閉じてしまう、目を動かすと口元がピクピクするなど、目と口が連動してうごく症状が多くみられます。
④顔のこわばり
時期:まひになってから1年〜
うごかなくなった筋肉はかたくなりちぢまってこわばりや痛み、違和感の原因になります。
もっとも多い《病的共同運動》をはじめ、まわりの人が思っている以上につらいこの後遺症を顔のクリニック金沢では積極的に治療しています。
【顔面神経まひとボトックス治療】
顔面神経まひの後遺症はボトックスⓇ(ボツリヌストキシン)を使って治療することができます。ボトックスⓇには筋肉の動きを弱める効果があります。もともとは顔のけいれんや表情じわの治療につかわれてきたお薬です。こわばった筋肉やまちがってうごいている筋肉、まひのない側のうごきすぎている筋肉などをターゲットに少量ずつボトックスを注射することで表情の左右差やゆがみを整えます。
●治療の流れ
①まずは問診と写真撮影、表情の診察からプランシートを作ります。症状には個人差があるため、お一人おひとりに合わせた治療プランを作成します。ほかにも気になっている表情じわ(「目尻」や「眉間 」など)があれば、プランに組み込みますのでお申し出ください。
②プランシートに沿ってボトックスを注射します(下図は投与部位の一例です)。極細の注射針を使っていますが、顔のいろいろなところに注射をするので痛みをやわらげるために表面麻酔(クリームの麻酔)を塗ってから治療することも可能です。麻酔クリームを塗って30分程度おくことで注射の痛みがやわらぎます(ご希望の際は予約時にお伝えください)。
③プログラムに沿って表情筋のマッサージなどのリハビリテーションを開始します。正しいリハビリテーションを行うことで相乗効果が期待できるだけでなく、効果が持続して注射の間隔を長くすることができたり、リハビリテーションの効果で注射がなくてもある程度効果が持続することもあります。
④1-2週目の診察で効果が足りないところがないかチェックします。笑ったときの表情や口元を動かした時の表情などをみて必要ならボトックス注射を追加します。1回目の結果から次回のプランシートを作ります。
⑤効果は3−4か月持続します。2回目以降は3−4ヶ月おきに治療をおこないます。まずは3回治療をうけていただき、写真による効果判定を行います。ご希望に応じて4回目以降の治療を続けることも可能です。
ボトックスを使った顔面神経まひ後遺症の治療は、表情筋のバランスを整えることで、自然な表情をとりもどすための治療です。顔面神経まひの後遺症でお悩みの方がおられましたらまずはいちどご相談ください。
料金(保険適応外、税込)
初診料(初回の診察) 3,300円
顔面神経麻痺ボトックス治療 44,000円(プランシートの作成を含む、基本12単位まで)
追加10単位 13,200円
表面麻酔(クリームの麻酔) 2,200円
再診料(2回目以降の診察) 1,100円
※リスク・副作用・合併症
・内出血(注射針が血管に当たってしまった場合)
・妊娠・授乳中の方への施術不可
・目が閉じにくくなる可能性
・目が開けにくくなる、眼瞼下垂になる可能性
・表情の左右差
※ 表情じわの治療薬として厚生労働省の承認を得ているアラガン社のボツリヌストキシン、《ボトックスビスタ®》を使用しています。
※顔面神経麻痺発症から4か月以上経過した慢性期の方に対する治療です。
お問い合わせ・ご予約
TEL 076-239-0039
10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.