顔面神経麻痺後遺症のボトックス治療とリハビリテーション
顔面神経麻痺の後遺症による顔のゆがみ、ひきつれ、意に反した動きに対する「ボトックス治療」とリハビリテーションについてご説明します。
顔面神経麻痺の後遺症
顔面神経麻痺の後遺症による顔のゆがみは以下のような原因によっておこります。
・表情筋の麻痺:神経からの刺激がなくなるため筋肉の動きがなくなります
・表情筋の筋力低下:神経が再生してくると筋肉が動き始めますが、しばらく動いていなかった筋肉はやせて筋力がおちています
・表情筋の拘縮:動かなくなった筋肉は硬くなり縮まってこわばります
・表情筋の異常共同運動:神経の再生過程で神経が混同することによって口元や目元の筋肉が意に反して動きます
顔面神経麻痺になってから4か月目ごろから口を動かすと目を閉じてしまう、目を動かすと口元がピクピクするなどの「共同運動」がみられるようになります。また、10か月から1年たつと動きの弱い表情筋が硬くなって縮まることで起こる「拘縮」による顔のこわばりが出てきます。
顔面神経麻痺とボトックス治療
顔面神経の後遺症はボトックス(ボツリヌストキシン)を使って治療することができます。ボトックスには筋肉の動きを弱める効果があります。顔のけいれんや表情による目尻や眉間のしわなどの治療に広く使われているお薬です。動きすぎている顔の筋肉やこわばった筋肉をターゲットに少量ずつボトックスを注射して特定の筋肉だけをゆるめてあげることで顔の表情の左右差やゆがみを整えることができます。
治療の流れ
①気になる症状と表情の診察からプランシートを作ります。症状の出かたには個人差があるため、お一人おひとりに合わせた治療プランを作成します。気になっている「目尻」や「眉間 」などのしわがあればお伺いし、同時に治療できるようプランに組み込みます。
②プランに沿ってボトックスを注射します。極細の注射針を使っていますが、顔のいろいろなところに注射をするので痛みをやわらげるために表面麻酔(クリームの麻酔)を使います。麻酔クリームを塗って30分程度おくことで注射の痛みが和らぎます。
③プログラムに沿って表情筋のマッサージなどのリハビリテーションを開始します。
④1-2週目の診察で効果が足りないところがないかチェックします。笑ったときの表情や口元を動かした時の表情などを確認して、ご希望に応じてボトックス注射を追加します。1回目の治療で足りなかった部分を修正して次回のプランシートを作ります。
⑤ボトックス治療の効果は3−6か月持続します。2回目以降は前回の治療の結果に応じて修正したプランシートをもとに注射の量や場所を決定します。
ボトックスを使った顔面神経麻痺の治療は、顔全体の表情筋のバランスを整えることで、自然な表情をとりもどすための治療です。注射の後に正しいリハビリテーションを行うことで相乗効果が期待できるだけでなく、効果が持続して注射の間隔を長くすることができたり、リハビリテーションの効果で注射が必要なくなることもあります。
料金
初診料(初回の診察) 3,000円
顔面神経麻痺ボトックス治療 40,000円(プランシートの作成を含む、保険適応外)
表面麻酔(クリームの麻酔) 2,000円
再診料(2回目以降の診察) 1,000円
※リスク・副作用・合併症
・内出血(注射針が血管に当たってしまった場合)
・妊娠・授乳中の方への施術不可
・目が閉じにくくなる可能性
・目が開けにくくなる、眼瞼下垂になる可能性
・表情の左右差
※ 表情じわの治療薬として厚生労働省の承認を得ているボツリヌストキシン、「ボトックスビスタ®」を使用します。
※顔面神経麻痺発症から4か月以上経過した慢性期の方に対する治療です。
※表記料金に消費税を加算させていただきます。