顔のクリニック金沢

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コラム

目の下のくま手術の修正について

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目の下のくま取り手術が普及し、治療を受けられるクリニックが多くなったためでしょうか、目の下のくま手術を受けられたあとの修正相談がとても多くなりました。

 

よくある修正相談内容や、根本的な治療ができるかどうか、根本的な修正が難しい場合の対処法などについて説明します。

 

 

 

 

修正相談の例

①脂肪を取りすぎて目の下がへこんだ

②目の下にしこりがある

③笑ったときに目の下にふくらみができる

④手術のあともくまが残っている

⑤目の下がむくんだようになっている

⑥注入した脂肪が片方だけ定着しなかった

⑦下まぶたがゆるくなった

 

 

 

 

ケース①脂肪を取りすぎて目の下がへこんだ

くま取り手術のなかでも眼球のまわりにある「眼窩脂肪」を切除する「眼窩脂肪切除(通称:脱脂)」のあとに多いパターンです。「ふくらみぐま」をなくすために脂肪を適量切除することはとても効果的なのですが、取り過ぎてしまうと目の下や場合によっては目の上までくぼんでしまうこともあります。

 

対処法:

取りすぎた脂肪をもとのボリュームに戻す根本的な治療法はないため、くぼみをめだたなくする「対症療法」をおこないます。脂肪やヒアルロン酸の注入でボリュームをおぎないくぼみをカムフラージュします

 

脂肪注入でカムフラージュする場合

目の下はくま部分の皮膚がうすいため、脂肪を注入するとデコボコになってしまったり、定着に左右差ができてしまうことがあるため注意が必要です。

脂肪注入は微調整ができません。

これは、脂肪がどのくらい定着するかを正確にコントロールする方法がないためです。「経験豊富な医師なら微調整ができる」「技術が高ければいい結果になる 」「特別な脂肪(コンデンスリッチ、ナノファット、幹細胞など)ならよくなる」ということは残念ながらありません。また、定着が不安定で吸収されて減ってしまうからといって多めに注入すると目の下がふくらみすぎたり笑ったときに不自然なふくらみができる原因となりますので、目の下での多めの注入は絶対に避けるべきです。

このような理由から顔のクリニック金沢では下まつげのきわからくまの溝(ティアトラフ)までの皮膚のうすいエリアへの脂肪注入はおすすめしていません。

目の下で脂肪注入が有効なのは頬のボリュームを足すことでくまが目立たなくなるような骨格をされている場合です。くまの影(ティアトラフ、ハの字の影)より下に脂肪を注入して頬をリフトアップしてくまをカムフラージュします。

 

ヒアルロン酸注入でカムフラージュする場合

目の下のくぼみをヒアルロン酸で補正する場合も脂肪注入と同じように皮膚の薄い部分への注入はおすすめしません。チンダル現象(うすい皮膚からヒアルロン酸が透けて青くみえてしまう現象)を避けるためです。

おすすめの注入法は、まず頬の丸み部分のボリュームをアップして、くぼみをあさくしておいてから、ティアトラフ部分にとてもやわらかいヒアルロン酸をごく少量注入する方法です。ヒアルロン酸は微調整がしやすいためティアトラフ部分への注入が可能です。ごく少量ならチンダル現象も起きにくくなります。また、「ある程度の経験や技術があればいい結果になる」ことが期待できます。

 

 

 

 

ケース②目の下にしこりがある

目の下にしこりがあるのは脂肪を移動させる下眼瞼形成術(通称:ハムラ法、切開ハムラ、裏ハムラなど)を受けた場合と、目の下に脂肪注入をした場合です。

 

対処法:いずれの場合も手術直後は移動させた脂肪や注入した脂肪がしこりのように触れることがあるため、まずは半年様子をみるようおすすめします。

半年以上たってもしこりがあっても、触ったときにしこりがあるだけで見た目に凹凸としてわからない、痛みなどの不都合がない、といった場合は特に何もする必要はありません(笑ったときだけふくらみが目立つ場合については次のケース③をご参照ください)。

半年以上たって見た目にもデコボコしているようなら修正の対象となります。移動させた脂肪は深いところにあるためデコボコの原因にはなりづらく、注入した脂肪がしこりになっていることが多いため、その対処法について説明します。

しこりになっている脂肪が炎症や感染を引き起こし痛みや腫れがあるようならしこりを取り除く手術や抗生剤の処方をおこないます。痛みや腫れがある場合炎症がおさまることでしこりが目立たなくなると思われます。

炎症がない場合はしこりを除去するか、しこりのまわりにボリュームを追加してカムフラージュするかの2択になりますが、よほど大きいしこりでない限り、適量除去してちょうどよく平らに調整するのは難しく、逆にデコボコになってしまうリスクもあります。修正を希望される場合はカムフラージュ治療をおすすめします。ヒアルロン酸や脂肪をしこりのまわりに注入してなじませます。

 

 

 

 

ケース③笑ったときに目の下にふくらみができる

笑ったときだけ目の下にふくらみができるのは、ティアトラフ部分に脂肪注入したためと考えられます。ティアトラフ部分の浅い部分だけに脂肪を注入すると周囲との段差ができてしまい、笑ったときにそれが目立つことがあります。

対処法:注入された脂肪を吸引して減らしたり、適量を切除するというのは難しく、逆にデコボコになるリスクが高くなります。

修正を希望される場合はパターン②と同じようにカムフラージュ治療をおすすめします。笑ったときのふくらみ周囲に注入してなじませることでふくらみをめだたなくすることができます。

 

 

ケース④手術のあともくまが残っている

眼窩脂肪切除(脱脂)、下眼瞼形成術(ハムラ法、切開ハムラ、裏ハムラ)どのくまとり手術でも起こりえる症状です。典型的なパターンは皮膚を切開しない下眼瞼形成術(裏ハムラ)のあとにティアトラフとよばれる溝の一部が残っている例です。

対処法:治療前よりはよくなっていることが多いため、ハムラ法をやり直すような根本治療まで希望されることは少ないのですが、ハムラ法をやり直す場合は前の手術の影響で難易度が高くなります。

手術以外で補正する場合はごく少量のヒアルロン酸注入や肌のハリ改善治療になります。

 

 

 

 

ケース⑤目の下がむくんだようになっている

めのしたがむくっとふくらんだ感じになり、くまは消えているけどふくらみ感が気になるという方がおられます。全体がふくらんでいてもあまり気にならないようであればもちろん修正は必要ありません。

 

対処法:目の下が全体にもこっとして気になるという場合は、受けた治療の内容と現在の状態から原因をつきとめて最適な方法を選択する必要があります。

たとえばくまの治療としてPRP注入を受けたあと目の下がむくんだようにふくれているという例では、ふくらみ部分にあるしこり(PRP治療でできたしこり)を切除して皮膚を切開する下眼瞼形成術(切開ハムラ)による修正をおこないました。

 

 

ケース⑥注入した脂肪が片方だけ定着しなかった

定着の左右差に対しての修正は定着が足りない側に脂肪を追加するか、ヒアルロン酸で補正するかのいずれかです。

 

そもそも脂肪注入では定着量を正確にコントロールすることができないため、目の下のような繊細な調整が必要な部分には向いていない治療法です。ダウンタイムを軽く、費用をできるだけ少なくしたいということであれば眼窩脂肪切除(脱脂)+ヒアルロン酸注入の組み合わせをおすすめします。

 

 

ケース⑦下まぶたがゆるくなった

皮膚を切開する下眼瞼形成術(切開ハムラ)にみられやすい合併症です。手術直後の一時的なものであれば数日から2か月以内に改善しますが、それ以上改善しない場合には修正術の適応となります。

 

対処法:修正術には2つの方法があります。

・糸で目尻をひきあげる「canthopexy」

・目尻の形を形成してゆるみをとる「canthoplasty」

 

このような合併症をおこさないために、あらかじめ下まぶたのゆるみをチェックし、下まぶたのゆるみがあればくまの手術と同時に「canthopexy」などを行っておくと安心です。

ゆるみのチェック方法は2つあります。

・下まぶたをあかんべえをするように引き下げて、手を離してからもとの位置(眼球にくっつくところ)に戻るまでの時間をチェックする「スナップバックテスト」→瞬時に戻らない場合は高リスク

 

・下まぶたを眼球から離れる方向に引っ張ってどれくらい眼球から離れるかをみる「ピンチテスト」→8ミリ以上離れるなら高リスク

自分でも簡単にできるチェック方法なのでくま手術を考えているならいちどチェックしてみることをおすすめします。

 

 

くま手術の修正相談では、複数の症状が組み合わさっている場合もあるため、手術をやりなおすなどの根本的な治療になると手術自体の難易度も高くなり、費用も高額になってしまいます。

 

また、根本的な治療ができない場合や、根治まで希望されない場合にはカムフラージュ治療のように目立たなくする方法をとるしかないこともあります。

 

気軽に受けることのできる「切らないくま治療」であっても、受けるまえに自分に合った施術かなどよく検討することが失敗をふせぐための最大の対策といえます。

 

関連コラム:

【症例】目の下のくま取り(裏ハムラ)とダウンタイムについて

比べて納得、切開ハムラと裏ハムラ

比べて納得、切開ハムラと裏ハムラ

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□自分にあったくま取り施術がわからない

□方法がいろいろあって違いがよくわからない

□クリニックに行く前にある程度自分で知っておきたい

 

今回はくまとり手術のなかでも切開ハムラ(経皮法)と裏ハムラ(経結膜法)の違いに着目し、症例写真を比べながら解説します。

 

 

【比べて納得その①】ダウンタイムの違い

皮膚を切開する切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)と皮膚を切らない裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)ではダウンタイムの経過が違ってきます。

皮膚を切開するほうがあとが目立つ期間が長くなります。

 

 

 

症例①50代女性、切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)

ダウンタイムの様子(上:術前、中:術後1週間、下:術後1か月)

※1か月目の頬の赤みはしみの治療(トレチノインハイドロキノン療法)によるものです。

●切開ハムラのダウンタイムについて

・腫れや内出血が目立つ期間は1〜2週間程度です。

・腫れを予防するため希望される方には2〜3日目の下にテーピングをおこないます。

・マツゲのきわの皮膚を切開するため傷あとの赤みが数か月から半年みられます。

・傷あとは半年程度でほとんどわからない程度におちつきます。

症例①手術前後の比較(上:術前、下:術後6か月)

 

 

 

 

症例②30代女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)

ダウンタイムの様子(上:術前、中:術後1週間、下:術後1か月)

●裏ハムラのダウンタイム

・腫れや内出血が目立つ期間は3〜10日程度です。

・腫れを予防するため希望される方には2〜3日目の下にテーピングをおこないます。

・すべて裏側の結膜切開からおこなう《内固定法》のため、皮膚に傷はありません。

・脂肪の固定は内固定(裏側の切開からおこなう)ため、直後に皮膚から糸が出ていたりすることもありません。

症例②手術前後の比較(上:術前、下:術後6か月)

 

 

 

《豆知識》裏ハムラと全身麻酔

裏ハムラの最大のポイントは皮膚のひっかかりになっているリガメントを確実にはずす《ティアトラフリリース》をおこなうことです。《ティアトラフリリース》が不十分になってしまうと、くまの影がのこってしまいます。

顔のクリニック金沢ではまぶたの裏の小さな切開から確実に靱帯をリリースするために《高周波メス》をつかったリリース法を採用しています。高周波メスによるリリースは局部麻酔だけではどうしても痛みを感じてしまうことが多いため、全身麻酔での施術をおすすめしています。全身麻酔には痛みによる血圧上昇をおさえて腫れや内出血を少なくするというメリットもあります。

全身麻酔については麻酔科専門医による日帰りで体への負担が少ない《全静脈麻酔(TIVA)》という麻酔法を採用しています。《静脈麻酔》のデメリットであった眠りの深さの個人差をなくすため、脳波を測定しながら麻酔薬を最小限にコントロールしています。これによりいやな夢をみる、途中で目がさめる、呼吸が止まってしまうなどのリスクなく安全・安心に手術をうけることができます。

 

 

 

 

【比べて納得その②】ふくらみの大きさ

ふくらみが大きい「バギーアイタイプ」には切開ハムラをおすすめしています。大きくふくらむことで皮膚が伸ばされてしまい、ふくらみを移動させたあとのたるみ感が目立ってしまうためです。

 

 

症例③50代女性、切開ハムラ(下眼瞼形成術、経皮法)

上:術前、下:術後6か月

ふくらみのやや大きい目袋(バギーアイ)でした。皮膚を切開してのびた皮膚を取り除くことでハリのある目の下になっています。

 

 

症例④30代女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)

上:術前、下:術後6か月

30〜40代でふくらみがそれほど大きくないタイプであれば皮膚を切らない裏ハムラをおすすめします。

 

 

 

 

 

【比べて納得その③】肌のハリと質感

ふくらみが中くらいのタイプで、ダウンタイムを軽くすませるために裏ハムラをトライしてみることは可能です。ただし、手術前より目の下のハリが低下し、小じわが気になる可能性があります。

 

 

症例⑤40代後半女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)

上:術前、下:術後6か月

手術前に比べると目の下の皮膚のハリが低下し、小じわが目立っています。気になる場合はピーリングやレーザーなど肌のハリを改善する追加の治療を受けることが可能です。「小じわは気になるけどあとから追加の治療をできればしたくない」という場合ははじめから切開ハムラのほうがよいかもしれません。担当医とよく相談して決めることをおすすめします。

 

 

症例⑤40代後半女性、裏ハムラ(下眼瞼形成術、経結膜法)

上:術前、下:術後6か月

同じ年代でふくらみが中くらいのタイプであっても、肌の質感がそれほど変化しないことがあります。小じわが術後に目立つかどうかを手術前に正確に予想することは難しいため、どうしても裏ハムラで、という場合には小じわが目立ったときにどうするかも考えて受ける必要があります。

 

 

 

 

 

 

執筆・上記症例の執刀医

山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko

顔のクリニック金沢 院長

経歴:

岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師

専門医資格等:

日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師

 

 

※合併症やリスク:薬剤のアレルギー、出血、感染・異物反応、眼瞼変形、結膜炎など

※費用について(自由診療)

下眼瞼形成術 ●料金表をみる

経結膜法(裏ハムラ)の場合は安全で確実な治療をうけていただくために全身麻酔での治療をおすすめしています。全身麻酔の場合は体への負担がすくない麻酔法である《全静脈麻酔(TIVA)》の費用と全身麻酔術前検査(日帰り入院管理料を含む)がかかります。

費用の見積を希望される場合は診察のご予約をおとりください。現在の状態、ご希望を確認したうえで手術方法を決定し、見積をおわたしいたします。

 

 

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

※費用はすべて消費税込みで表示しています。

※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真やイラストを掲載しています。

 

 

【症例】特殊な目の下のくま《ティアトラフ》について

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《ティアトラフ》とは?

《ティアトラフ》とは目の下の内側にあるくぼみのことを指します。《tear trough》は直訳すると「涙の流れる溝」という意味です。目頭から流れるなみだがちょうどこの部分を伝って流れるイメージからつけられた名前と思われます。

この《ティアトラフ》が目立つタイプのくまには下記のような特徴があります。

 

□子供の頃からくまがあった

 

□元気なのに疲れているように見られることが多い

 

□メイクをしてもくまが消えない

 

□症例写真で自分と似たタイプの人があまりいない

 

特殊なくまである《ティアトラフ》の原因や治療について説明します。

 

 

 

 

《ティアトラフ》の原因

ティアトラフの原因はくぼみの部分にある《ティアトラフ靱帯》というスジ状の組織が骨と皮膚の間をつなぐようにしてあることです。

一般的なくまとティアトラフが目立つタイプのくまの違いは靱帯のくい込みの深さです。ティアトラフタイプでは通常よりくい込みが深いため、ハの字の影が目立つ形になっています。

  また、一般的なくまでは年齢を重ねることで脂肪のふくらみが大きくなりくまが目立ってくるのに対し、ティアトラフタイプでは子供の頃からくまが目立ちます。10代くらいまではハの字の影だけ、それ以降は脂肪のふくらみが出てくるためさらにくまが目立つようになります。

若いうちからくまが目立つため体調がいいときでも「疲れてない?」「体調がよくないのでは?」と心配されてしまうという声もよく聞きます。

 

 

 

《ティアトラフ》タイプのくまの治療

《ティアトラフ》タイプのくまの治療にはまぶたの裏から靱帯をはずしてくぼんでいるところに脂肪を移動させる《裏ハムラ》をおすすめしています。

 

《ティアトラフ》タイプのくまでは靱帯が奥のほうから出ているなどもともとの骨格や靱帯のつきかたが原因になっています。靱帯によるくいこみをはずす《ティアトラフリリース》をおこなって目の下のくぼみを改善させることが自然にくまを目立たなくするのにとても効果的であるためです。

 

裏ハムラではまぶたの裏のちいさな切開から《ティアトラフリリース》を行う必要がありますが、このリガメントが確実に処理できていないと目の下にくぼみや影が残ってしまう原因となります。残ってしまった場合の修正手術は可能ですが、1回目の手術より難易度が高くなるため、できれば1回目の手術できちんと《ティアトラフリリース》をおこなっておきたいところです。

 

顔のクリニック金沢では《高周波メス》をもちいることで出血をおさえて確実に《ティアトラフリリース》をおこなっています。高周波メスによるティアトラフリリースは局所麻酔だけでは痛みを感じてしまうことが少なくないため、体への負担が少ない《全静脈麻酔(TIVA)》でねむっているあいだに受けることをおすすめしています。

 

靱帯のくい込みを外したあと、靱帯のあったくぼみ部分に脂肪を移動させて糸で固定します。すべてまぶたの裏側を切開したところからおこなう《内固定法》のため、肌の表面には傷ができず回復も速やかです。

 

 

 

《ティアトラフ》タイプのくま治療で注意したいこと

皮膚を切らずに脂肪をとる《脱脂(眼窩脂肪切除)》という方法がありますが、《ティアトラフ》タイプのくまには《脱脂》が適していないことに注意が必要です。もともと目の下がくぼんで影になっているため、脂肪をとってさらにくぼませるとさらにやつれて見える、さらに疲れて見える、脂肪を取り過ぎてしまうともとに戻せないなど、安価であるという以外のメリットがないためです。

 

それでも《脱脂》を受けるなら、取る脂肪の量を極力少なくすること、ティアトラフの溝が少し残ることを許容することがポイントです。また、切らずに治療を希望される場合は《ヒアルロン酸注入》を検討してもよいかもしれません。

 

ヒアルロン酸は1〜2年で吸収されてしまう、ティアトラフの溝が少し残るというデメリットはありますが、手軽にくまが目立たなくなることや、いずれ手術を受けたい、となったときにヒアルロン酸を溶かしてもとの状態にリセットできるなど脱脂に比べてもメリットは多いのではないでしょうか。

 

 

 

目の下の色調について

《ティアトラフ》タイプのくまでは目の下が赤紫や青紫に見えることが少なくありません。これは肌が薄く血管や筋肉が透けて見えるためです。治療によって影がなくなると色味はすこし薄くみえるようになりますが、完全に消えることはありません。女性ではメイクで目立たなくすることが可能です。

 

 

 

【症例】30代女性

子供の頃からくまが目立っていた。最近はさらに目立つようになった気がしている。以前から疲れているのではないかと心配されることが多かった。

上:術前 下:術後6か月

上:術前 下:術後6か月

上:術前 下:術後6か月

くい込みが改善して平坦な目の下になったことで疲れて見える印象が改善しました。目の下の皮膚の色調は変化していませんが、影がなくなったことで若干うすく見えるようになっています。

※この症例では術後にスキンケア(高濃度レチノール)によるくすみ治療を併用しています。

 

 

 

 

ダウンタイムを軽減するために

顔のクリニック金沢ではダウンタイム軽減のためにさまざまな取り組みを行っています。

①皮膚に糸を出さない内固定法

②痛みをなくし、血圧を安定させる全静脈麻酔(TIVA)

③腫れを予防する止血剤の使用(内服、点滴)

④術後のテーピング(2〜3日)

 

上:術前  中:術後2日  下:術後1か月

上:術前  中:術後2日  下:術後1か月

 

 

2日目はむくみのため涙袋が目立たなくなっていますが、腫れがひいてくると涙袋がくっきりと出てきます。

関連コラム:目の下のくま取り(裏ハムラ)とダウンタイムについて

 

 

 

 

執筆

山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko

顔のクリニック金沢 院長

経歴:

岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師

専門医資格等:

日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師

 

 

※合併症やリスク:薬剤のアレルギー、出血、感染・異物反応、眼瞼変形、結膜炎など

※費用(自由診療)

●料金表をみる

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

※費用はすべて消費税込みで表示しています。

※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真やイラストを掲載しています。