顔のクリニック金沢

COLUMN

コラム

【症例】目の下のくま取り(裏ハムラ)とダウンタイムについて

/

【目の下のくま取り(裏ハムラ)とは】

目の下のくま取り手術、《下眼瞼形成術》とは目の下の形態を整える手術です。ふくらみやくぼみをフラットにならし、くまの影を目立たなくすることができ、目の下を自然に美しく整えます。

 

結膜の切開から脂肪を移動させる《下眼瞼形成術(裏ハムラ)》は《脂肪再配置》ともよばれ、皮膚を切開しないため腫れや傷あとなどの回復期間(ダウンタイム)が短いこと、合併症が少ないことから多くの形成外科医が採用しています。

 

【治療の流れ】

①まぶた裏の粘膜を切開します。

②目の下のくぼみ《tear trough(涙のミゾ)》部分にあるリガメントをはずします。

③目のまわりの《眼窩脂肪》をミゾのあった部分に移動させ糸で固定します。

③結膜を溶ける糸で縫合します。

 

 

【治療のポイント】

2017, Wong CH. Plast Reconstr Surg. 140 より引用

この手術の最大のポイントは皮膚のひっかかりになっているリガメントを外すことです。4時方向から8時方向までの範囲でリガメントを外すことで目の下のハの字の影ができなくなり、目の下の凹凸がなくなります。

 

 

【症例】目の下のくま取り(下眼瞼形成術、経結膜法、裏ハムラ)

上【術前】

中【術後1週間】

下【術後1カ月】

リガメントを外して脂肪をハの字のミゾの部分に移動させています。ふくれた感じがのこらないようごく少量の脂肪を切除しています。目の下がフラットになり、目の下の影が改善しています。

 

 

 

上【術前】

中【術後1週間】

下【術後1カ月】

1週目はまだすこしむくみがあり、涙袋がぼやけてみえますが、1か月目にはむくみがとれて涙袋がくっきりとしています。むくみが目立つのは1週間程度、完全に落ち着くのは1〜3か月です。

※内出血がでた場合は消えるまで2週間ほどかかります。

※手術前から涙袋がある場合の経過です。もともと涙袋がまったくない場合、涙袋ができることはありません。

 

 

【顔のクリニック金沢でおこなう目の下のくま取り(裏ハムラ)について】

・手術はすべて裏側の結膜切開からおこなうため、皮膚に傷はできません。

・脂肪の固定も裏側の切開からおこなうため、直後に皮膚から糸が出ていたりすることもありません。

・結膜の縫合糸には溶けて吸収される糸(8−0バイクリル)を使うため抜糸の必要はありませんが、糸が気になる場合には抜糸することも可能です。(結膜を縫合しない方法もありますが、縫合しないことで出血しやすい場合があるため特にご希望がなければ結膜を縫合をしています。)

・手術時間は90〜120分です。

・麻酔科専門医が担当する日帰り全身麻酔で痛みなく受けることができます。

・術後の腫れやむくみを予防するため夜は枕を高めにしてお休みください。また、決められた期間お渡しする点眼薬を使用してください。

・目の下にテーピングを行いますので、2〜3日目にはがしてください。

・術後2週間は激しい運動や目の下の圧迫、強いマッサージを避けてください。

※アフターケアに必要な内服薬・点眼薬、目もとを冷やすための保冷剤、注意事項の説明用紙などをお渡しします(すべて手術費用に含まれます)。

 

 

【目の下のくま取りのダウンタイムについて】

・腫れのピークは術後48時間です。腫れの程度は個人差があります。

・1〜2週で目立たない程度まで腫れが改善します。

・完全に腫れがひいて手術の結果がわかるのは術後1〜3か月目です。

・当日から洗顔や短時間のシャワーは可能です。テーピングをはずしたあとは目の下もスキンケア、メイクができますが強く押したりこすったりしないように注意してください。

【Q&A】

Q:コンタクトレンズはいつからつけられますか?

A:基本的には術後1か月あけて使っていただいています。どうしても早くコンタクトを使いたい場合にはご相談ください。結膜側の抜糸をすることで少しはやくコンタクトを使っていただくことができます。

 

Q:テーピングはいつまでですか?

A:帰宅前に目の下に肌色の目立たないテープをはります。期間は2,3日を目安に自然に浮いてはがれてきたら終了です。一旦はがれたあとはご自身で貼る必要はありません。

 

Q:脂肪注入はあとからでもできますか?

A:脂肪注入を同時にうけるか迷っているのであればまずは裏ハムラだけ受けられて変化をみていただき、必要ならあとから脂肪注入をすることが可能です。2回に分けることのデメリットは、手術が2回になるためそれぞれにダウンタイムの期間があることと、麻酔や検査の費用が2回分必要になることです。

 

Q:脂肪注入は定着しなかったりしこりになるリスクがあると聞きましたが大丈夫ですか?

A:脂肪の採取、加工、注入の方法によっては定着率が低くなったりしこりになることもありえます。また、ハの字のミゾ部分のみに脂肪を注入するとその部分が笑ったときにポコッとふくれて見えてしまうことがあり、そうなると修正が難しいため注入する範囲にも配慮が必要です。いずれにしても経験豊富な執刀医を選ばれることをおすすめします。

《形成外科専門医資格》は基本的な手術手技をマスターしているというひとつの目安になります。

《JSAPS美容外科専門医》は美容外科手術を一定の症例数行った経験の目安になります。ご参考になれば幸いです。

 

Q:裏ハムラのときでも脂肪はとりますか?

A:脂肪はできるだけ温存します。ただし、ぽっこり感が残るようなときは必要最小限に切除します。前後の長さが短いアジア人の骨格では多少は切除しないと目の下のふくらみが残りやすいといわれています。

 

Q:裏ハムラまでしなくても脱脂だけで十分ではないのでしょうか?

A:脱脂だけでもふくらみは改善しますが、ハの字のシワ(tear trough)が残ります。日によってふくれて見えたり、ハの字のくまが出たり、ということもありえます。また、肌の弾力が低下している中年期以降は脱脂しすぎると目の下がくぼんでやつれて見えてしまうこともあるため取り過ぎには注意が必要です。治療のゴールをどこにもっていくかによって方針は変わってきますので、主治医とよくご相談ください。

 

Q:裏ハムラで移動させた脂肪はどこに縫い付けますか?

A:内側は《上唇鼻翼挙筋》という筋肉の端に縫い付けます。内側のミゾが残るととくに目立つため、しっかりと脂肪を移動させて確実に固定する必要があります。それ以外の部分は目の下の骨膜や脂肪組織に縫い付けます。当院では基本的に皮膚側に糸を出さずに内部での縫合のみを行っているため、手術直後に頬から糸が出ている状態になることはありません。

 

Q:裏ハムラのあと目の下をさわるとしこりのようなものがあり心配です。

A:脂肪を縫い付けたところがしこりのようにふれることがあります。見た目がデコボコしていなければ様子をみてください。ふつうは数ヶ月から半年でしこりを触れなくなります。見た目にもデコボコしてみえるようであれば主治医にご相談ください。

 

Q:裏ハムラの適応年齢は決まっていますか?

A:年齢によって適応を決めることはありません。肌の状態や骨格、希望される治療のゴールによって適応が決まります。

 

Q:リガメントを処理する本格的な裏ハムラとそうでない裏ハムラの違いは何ですか?

A:たとえば(裏側からの脱脂)+(脱脂した脂肪の移植)などの術式を便宜上《裏ハムラ》と称している場合もあります。本格的なハムラ法ともっともちがう点は手術に要する時間です。リガメントを切り離して脂肪を移動させるためには、なれている術者でも1〜2時間程度かかります。また、局所麻酔であれば目頭側のリガメントを切り離すときに痛み止めが効きづらいところがあるため少なからず痛みを感じます(図の赤い部分、眼輪筋という筋肉があるため痛みを感じやすい)。痛みなく手術を受けていただけるよう、当院では全身麻酔で治療をおこなっています。

 

【症例1】30代女性

《下眼瞼形成術(裏ハムラ)》(上:術前、下:術後半年)

 

 

 

 

【症例2】40代女性

《下眼瞼形成術(裏ハムラ)》(上:術前、下:術後半年)

 

 

 

【症例3】50代女性

《下眼瞼形成術(裏ハムラ)+脂肪注入(目の下、頬など)》(上:術前、下:術後半年)

 

 

 

【担当医について】

上記の症例を担当した外科医、麻酔科医はともに十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。

《外科医》 山下明子

日本形成外科学会専門医

日本美容外科学会(JSAPS)専門医

《麻酔科医》 日高康治

日本麻酔科学会専門医

 

 

 

※合併症やリスク:薬剤のアレルギー、出血、感染・異物反応、結膜充血、結膜浮腫、眼瞼内反、眼瞼外反、複視

※費用(自由診療)

●料金表をみる

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

 

※費用はすべて消費税込みで表示しています。

※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真を掲載しています。

 

 

関連コラム:もっとも良い「目の下のくまをとる方法」

 

 

 

執筆

山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko

顔のクリニック金沢 院長

経歴:

岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師

形成外科 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師