【学術活動】顔の輪郭手術
カスタムメイド型の正確なガイドを
用いた下顔面の輪郭形成術
●第15回日韓形成外科学会/The 15th Japan-Korea Congress of Plastic and Reconstructive Surgery
パネルセッション6/Panel Session 6
顔の輪郭手術/Facial Contouring Surgery

パネリスト・座長(写真左より)
金沢医科大学形成外科准教授・顔のクリニック金沢 山下 昌信
東海大学形成外科教授 赤松 正 先生
Hallym University Soyeon Jung 先生
ソウル大学 形成外科教授 Rong-Min Beak 先生(座長)
藤田医科大学教授 奥本 隆行 先生(座長)
Seoul Cheoil Plastic Surgery Sang Beak Han 先生
【カスタムメイド型の正確なガイドを用いた下顔面の輪郭形成術/The Contouring Surgery of the Lower Third of Face with Custom-Made Accurate Surgical Guide】
輪郭形成術として一般にひろくおこなわれている《頬骨形成術》と《下顎形成術》のうち、《下顎角形成術》の新たな術式について報告した。
《下顎骨形成術》でおこなわれる下顎角の骨切り術では下記のような問題がある。
・盲目的(見えない状態で手術すること)な骨切りによる《二次角》の形成
・盲目的な骨切りによる予期しない骨折
・不適切なデザインによりフェイスラインのサポートを失い“たるみ”を生じること
これに対して演者が考案した下記の方法で患者の希望する形態のとおりに安全で正確にデザイン通りの骨切り術を行うことを可能とした。
①臨床画像をもちいたシミュレーション(患者の希望にあわせる)
②CT画像とシミュレーション画像の重ね合わせによる骨切りデザインの確認
骨切り線はストレートかわずかに下にふくらみをもたせると、フェイスラインのたるみを予防することができる。
③シミュレーションをもとに熱可塑性樹脂を用いた骨切りガイドの作成
④レシプロケーティングソーを用いた口腔内からの骨切り(皮膚は切開しない)
【まとめ】
シンプルな方法でシミュレーション通りの骨切りを正確に行い、良好な結果が得られる手術法として有用であるため報告した。

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信
【学術活動】顎顔面外科手術:
見えない術野の操作を伝えるために行っていること


●第66回日本形成外科学会総会・学術集会
パネルディスカッション5
顎顔面外科手術:次世代への伝承~見えない術野の操作をどのように伝えるか~
【顎顔面外科手術:見えない術野の操作を伝えるために行っていること】
現代の顎矯正手術 orthognathic surgery の多くは、上顎 Le Fort I 型骨切り術と両側下顎枝矢状分割骨切り術により行われている。
最も基本的で汎用性の高いこの2術式は、下顎前突症や上下顎前突症、小顎症、開咬、顔面非対称、美容外科骨切りなど、ありとあらゆる症例で普遍的に用いることができる。
手術では、
1.なるべく少ない器機を使用し
2.なるべく少ない手数で
3.なるべく単純な方法で
行うことを心がけている。シンプルな手術を繰り返し行うことで、手技の習熟度は格段に高まる。また、その際に意識をしていることは・術式の選択により見えない術野そのものをなるべく少なくすること・術野を常に録画すること・見えないこと自体を共有すること、である。
本パネルディスカッションでは、現在演者が行っている顎変形症に対する下顎形成術の術中動画を供覧するとともに、日常の手術では確認しがたい術者の目線や、やや深い術野での手術操作についても詳細に解説した。

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信
【学術活動】下顎輪郭形成でみる手術手技の実際


第40回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会
パネルディスカッション4
【顔面輪郭形成術(Facial contouring surgery)の実際】
テーマ:輪郭3点(頬骨と下顎の手術)において、安全でよい結果を得るための手技や 骨切りのデザインについて。
《演題/演者》
◆安全に良い結果を得るためのFacial contouring surgery: 本日の焦点 リラ・クラニオフェイシャル・クリニック 宇田 宏一
◆Facial contouring surgery 私の方法 ヴェリテクリニック 藤本 雅史
◆下顎輪郭形成でみる手術手技の実際 金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆How to design the face to obtain ideal outcome in facial bone contouring surgery THE PLUS Plastic Surgery(ザ・プラス美容外科) Dr.Kim, Teak-Kyum (キムテッキュン)
《概要》
下顎輪郭形成でみる手術手技の実際
金沢医科大学形成外科/顔のクリニック金沢 山下 昌信
◆診断について
3DCT(骨格の立体画像)による術前診断が必須。

◆オトガイ骨切り(中抜き、あごを小さくした場合)の症例呈示
必要最小限の切除・削除量にとどめることで十分に小顔化をはかりつつ、たるみを予防することができる(骨を多く取り過ぎるとたるんでみえる)。中抜き後の両端に生じる段差は下顎縁がなめらかになるよう削って整える。

◆オトガイ形成(jumping genioplasty、あごを前に出した場合)の症例呈示

※Henry K. Kawamoto, MD, Continuing Medical Education Examination—Facial Aesthetic Surgery, Osseous Genioplasty Aesth Surg J. 2000より引用
jumping genioplasty(オトガイの骨片を下顎骨の上に乗り上げるようにして大きく前に出す方法)により著しい少顎の症例でも大幅な前方移動が得られる。固定はステップ状にベンディング(曲げた)したプレートを使用し、オトガイの骨片を安定させるため(上にはねあがらないように)外側をスクリューでブロックする必要がある。
◆下顎角形成(エラを小さくした場合)の症例呈示

画像解析ソフトを用いたシミュレーションにより患者と治療ゴール(どこまでエラをちいさくしたいか)を共有することが大切。耳垂基部(耳たぶの付け根)から1.5㎝程度下に下顎角(エラの角)がくるようにすることで、自然な形態を保つことができる。また、下顎縁の形態をわずかに下方に凸にすることでより自然な形態となる。実際の手技についてはあらかじめデザインに合わせて作成した術中ガイドに沿ってピエゾサージャリー(超音波骨切削機)で骨切りラインを浅く削り、これを目安にしてレシプロケーティングソーで骨切りをおこなっている。

三次元モデルから作成した術中ガイドを使用することでデザイン通りの骨切りが可能となる。術中ガイドはギプス等に用いられるアクアプラストT(熱可塑性樹脂)を使用することで簡便に作成できる。

さらに外板(骨の外側の硬い部分)を削ることによりあごの横幅を減量することができる。
◆問題症例の呈示(他院症例)
①下顎角が欠損し二次角が目立ってしまった例
デザイン通りに骨切りするためにはやはりガイドが必要。また、オシレーティングソーでの骨切りでは骨切りラインが頭側・前方へずれやすいので注意が必要。
②下顎縁の過剰な切除例
骨切除量を神経が温存できるギリギリまでにしても軟部組織(頬や顎下のお肉)のボリュームなどにより、たるみ感、不自然さだけが目立ってしまうことがある。下顎縁の形態が上に凸になるとさらに不自然となる。
◆頬骨縮小術の症例呈示
現在行っている骨切りデザインについて(L字型骨切り)。
《ディスカッションの概要》
・頬骨縮小術
デザイン、固定方法、頬の下垂(たるみ)予防について。
・下顎骨形成術(下顎角形成、オトガイ形成)
デザイン、Vライン形成の限界、外板削除(切除)の是非、出血への対策について。
※費用や合併症、ダウンタイムについては下記のコラムをご参照ください。
《関連コラム》
下顎角形成 自然な変化のエラ治療
【症例】下顎角形成術とダウンタイムについて
【症例】オトガイ形成術とダウンタイムについて

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信