【症例】ルフォー骨切り術とダウンタイム

【上下顎骨切り術とは】
上下顎骨切り術(ルフォー+BSSO=両顎手術)とは、上顎骨と下顎骨を三次元的にいろいろな場所に動かすことで顔立ちの特徴を変える手術です。
たとえば顔全体を短くする、顔の曲がりを整える、口元の突出感を減らすなどの変化が可能です。
上下顎骨切り術の効果とそのダウンタイムについて症例写真を使って解説します。
【症例】

※この手術で改善したところ①
・顔が面長に見える
・あご先が左に曲がっている

※この手術で改善したところ②
・前歯の並びが傾いている(右が下がっている)
・ガミースマイル(笑うと上の歯肉が見える)

【手術内容】
・上顎ルフォー骨切り(傾斜調整、4㎜短縮)
・下顎のBSSO(=SSRO)骨切り
・オトガイ形成(中抜き・sliding、3.5㎜短縮)
手術は提携病院で入院し、全身麻酔でおこないます。
すべての骨切りは口の中から行い、ドレーン(血抜きの管)も口の中から出すため皮膚には傷ができません。

術前(左)と術後12カ月(右)です。
あご先の曲がりが解消され面長感もなくなり女性らしい柔らかな輪郭へと変化しています。

スマイルの変化です。ガミースマイルが解消して笑っても上の歯肉が見えなくなりました。上の歯の傾きも改善して理想的な歯の見え方となり、華やかでかつ落ち着きのある口元になりました。
《歯の見え方》の変化はこの手術で最も重要なポイントです。手術中に歯の見せ方をミリ単位で微調整しました。
※関連コラム:口元の基準 incisal show

本例では歯並びやかみ合わせに問題がなかったため、かみあわせを変えせずに手術を行っています。術後、歯に矯正装置をつけておこなう《歯科矯正治療》はおこなっていません(術前術後に提携矯正歯科でかみあわせのチェックのみ)。


ルフォー骨切りにより上あごを短縮しています(右側で4mm)。上あごの左右差を調整することで上の歯の見え方、前歯の傾き、顔の下半分の曲がりが修正されました。

オトガイ形成(中抜き、3.5㎜)によって下あごの長さも短くなっています。


骨格の縮小による皮膚のたるみをおさえるため、オトガイ(あご先)を少しだけ前方に移動(sliding)させています。
術前(左)と術後12カ月(右)の比較写真です。


【顔のクリニック金沢でおこなう上下顎骨切り術について】
・手術は提携病院で行います。
・手術は全身麻酔でおこないます。
・入院が必要です(4泊5日)。
・すべての骨切りは口の中から行い、ドレーン(血抜きの管)も口の中から出すため皮膚には傷ができません。
・術後6週間は柔らかい食事をとってください。
・術後6週間は激しい運動やあごへの圧迫、衝撃を避けてください。
・口の中を清潔に保つため食後はお渡しする含嗽薬でうがいをしてください。
※術後にアフターケアに必要なお薬、注意事項の説明用紙などをお渡ししています(手術費用に含まれます)。
【上下顎骨切り術のダウンタイムについて】
・腫れのピークは術後48時間です。
・腫れの程度には個人差がありますが、およそ2~4週で目立たない程度まで改善します。
・完全に腫れがひいて手術の結果がわかるのは術後6か月目です。
【担当医について】

この症例を担当した外科医、麻酔科医はともに十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。
《外科医》 山下昌信
日本形成外科学会専門医 日本美容外科学会(JSAPS)専門医

《麻酔科医》 日高康治
日本麻酔科学会専門医
【費用について】
【起こりうる合併症、リスク、副作用】
術中術後出血、術後感染、神経麻痺、後戻り、噛み合わせのずれ、ご自身の術後イメージと手術の結果が一致しないことがある、他
お問い合わせ・ご予約
TEL 076-239-0039
10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.
※費用はすべて消費税込みで表示しています。
※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、術前・術後の写真を掲載しています。
※先天性疾患等の治療としておこなう場合には保険適用となることがあります。適用条件については医師の診断が必要であるためご相談ください。

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信
■治療についての詳しい説明
かみ合わせを整えます。また、顔の骨格や口元の整容的改善を行います。
方法
1.全身麻酔下に行います。
2.手術は基本的に口の中から行います(プレート固定方法等により、頬部等に数ミリ程度の小切開を行うことがあります)。顎の骨を切って移動させ、かみ合わせや顔の骨格の整容的バランスが整う位置でプレートとスクリュー等を用いて固定します。
3.手術時間は2−6時間程度です。
一般的な経過
術後は状態を軽く起こした状態でお休みいただきます。ドレーン(血液を体外に排出する管)を挿入した場合は、手術当日あるいは翌日に抜去します。口腔内の縫合には溶ける糸を使用するため抜糸の必要はありません。術後数日よりゴムバンドによるかみ合わせの安定化をはかります。腫れのピークは通常術後48ー72時間後で、その後は徐々に軽快します。術後は矯正歯科医による矯正治療を行います。
■合併症、副作用について
・薬剤のアレルギー
術中術後使用薬などによる各種アレルギー反応(稀にアナフィラキシー反応などの重篤なアレルギー反応)。
・出血
術中は一時間につき50−100ml程度の出血が予想されます。上下顎骨切り術の場合は自己血輸血を行います。術中に大量出血を認めた場合は、手術を中断します。また、止血操作のため頚部等に追加の皮膚切開を行うことがあります。
・術中骨折
数%で術中に想定外部位での骨折をきたすことがあります。術中に骨折箇所の修復を行います。
・皮膚損傷
手術器機による口角の牽引や熱の作用などにより、皮膚に傷が生じることがあります。
・歯牙損傷
スクリューによる歯根へのダメージなど手術操作により歯牙損傷をきたし、根管治療や抜歯が必要となることがあります。
・歯科矯正装置の損傷や脱落
術中にブラケットなどの歯科矯正装置が脱落し、創内に埋入することがあります。その場合摘出が困難なことがあります。
・術後気道閉塞や肺炎などの呼吸器合併症
腫脹や気道分泌物、血液のたれ込みなどにより術後気道閉塞や肺炎などの呼吸器合併症をきたすことがあります。
・感染
術後感染をきたすことがあります。プレート固定部に感染が生じた場合は、ドレナージやプレート抜去等の追加処置が必要となることがあります。腐骨による症状(感染などによりくっつかなかった骨の一部が傷口から出てくる等)を呈することがあります。
・オトガイ神経麻痺
下顎の手術の術後に顎先から下口唇にかけての知覚鈍麻を生じることがあります。多くは一過性で数ヶ月の経過で治癒いたしますが、数%−10数%で神経麻痺が残存することがあります。
・眼窩下神経麻痺
上顎の手術の術後に頬部、鼻翼、上口唇、上顎歯肉、口腔内粘膜にかけての知覚麻痺を生じることがあります。多くは一過性で数ヶ月の経過で治癒いたしますが、稀に神経麻痺が残存することがあります。
・舌神経麻痺
舌のしびれや味覚の変化が生じることがあります。
・顔面神経麻痺
顔面神経麻痺により顔の動きが悪くなることがあります。
・鼻閉
上顎の手術の術後に鼻閉をきたす、あるいは既存の鼻閉が増悪することがあります。
・鼻形態の変化
上顎骨切り術後に鼻形態が変化することがあります。
・顎関節の痛みや違和感
術後に顎関節症症状が出現あるいは既存の症状が悪化することがあります。
・骨接合材の破損など
骨固定に使用したプレートが破損したり露出したりすることがあります。
・かみ合わせや骨格の後戻り
特に下顎を前進させる手術では、稀に顎関節頭吸収等によりかみ合わせや骨格の後戻りをきたすことがあります。
・術後顔貌変化に対する不満足
術後の顔の形態が、ご本人が術前にイメージしたものとは一致しないことがあります。また、皮膚の下垂や外鼻形態の変化などご自身が好ましく思わない変化が生じることがあります。顔貌の非対称に対する治療であっても、完全な対称性を得ることは困難です。
・その他の合併症
非常に稀ですが、視力障害(失明)や死亡など、重篤な合併症の報告があります。
■麻酔について
本手術は、全身麻酔および提携病院での入院を必要とします。
・手術費用のほかに全身麻酔のための検査、麻酔費用、および入院管理費用がかかります
全身麻酔(顎矯正手術)275,000円
入院(4泊5日)264,000円
全身麻酔術前検査 33,000円
■費用について(自由診療、税込)
◎上下顎骨切り術+オトガイ形成術
2,860,000円
※モニター割引を適用した場合は手術費用が15%割引となります(麻酔費用や検査費用、入院費用の割引料金はありません)。術後1週間、1か月、3か月、6か月の受診と写真撮影が必須です。モニター画像は目もとにモザイク等をいれた状態で使用します。
※上記は2026年2月時点での料金です。料金改定により料金が変更となる場合があります。最新の料金については料金表をご参照ください。 料金表を見る
執筆・執刀医

山下 昌信
YAMASHITA, Masanobu
経歴:
石川県出身
平成9年 金沢医科大学医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成20年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)形成外科留学
頭蓋顔面外科フェロー(Dr. Henry K. Kawamoto, Jr.,M.D., D.D.S.)
Pacific Coast Plastic Surgery Center 美容外科
平成22年 金沢医科大学形成外科(頭蓋顔面外科、小児形成外科、美容外科)
平成29年 金沢医科大学形成外科准教授
資格等:
形成外科専門医
日本頭蓋顎顔面外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAPS)専門医
日本形成外科学会領域指導医
日本形成外科学会小児形成外科分野指導医
学会等の活動:
日本形成外科学会 評議員・専門医認定委員会委員
日本頭蓋顔面外科学会 代議員・専門医認定委員会委員
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医試験問題作成委員会委員
口が閉じにくい4つの原因

口が閉じにくい状態=lip incompetence
口が閉じにくい、口元に力をいれないと閉じれないといった症状を《lip incompetence(口唇閉鎖不全)》といいます。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)の原因
《歯や骨格》のような硬い組織と《唇や皮膚》のようなやわらかい組織のバランスが合っていないことが唇を楽にとじることができない原因になっています。無理に力を入れて口を閉じようとするとあごに梅干しのようなしわができたり、鼻の下がのびてしまうこともあります。
鼻の下の長さを改善させる手術に《人中短縮》という方法がありますが、lip incompetenceによって鼻の下が伸びているのに《人中短縮》をしてしまうと、唇や鼻の変形が目立ってしまったり口が閉じにくいという症状が悪化してしまうこともあります。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)4つのタイプ
バランスの不均衡によって唇が閉じにくく、閉じようとするとうめぼしじわができたり鼻の下が伸びるという反応は無意識におこる現象なので、“口元の力を抜く”といった方法では対処できません。口元のバランスの不均衡には4つのタイプがあります。
1、前歯がでている
2、小顎・あごが小さい
3、受け口・顎が長い
4、上あごが長い
それぞれのタイプに応じた治療を選ぶことが大切です。
lip incompetence(口唇閉鎖不全)の治療
1、前歯がでている
前歯が出ていることで唇が閉じにくい出っ歯タイプ。歯がこみあって生えている《叢生》や歯が外向きに生えている《唇側傾斜》のように歯の生え方や向きだけの問題であれば装置をつけて歯ならびをなおす《歯科矯正》で口が閉じやすくなります。
歯肉や骨格から口元が出ている《上下顎前突/じょうかがくぜんとつ》であれば歯科矯正だけでなく《上下顎骨切り術(両顎手術)》のような骨格の治療が必要になることもあります。
2、小顎・あごが小さい
あごが小さい“小顔”は若々しく見えるのはメリットですが、小さすぎると皮膚や筋肉とのバランスが合わずに唇が閉じにくい原因となります。下あごだけが小さいと上下の前歯のすきまを下の唇でふさいでいたり、あごを前にだしてなんとかバランスをとっていることもあります。
《オトガイ形成》《下顎枝矢状分割術(SSRO・BSSO)》《上下顎骨切り術(両顎手術)》などで骨格のバランスを整えることで口が閉じやすくなるだけでなく、横顔のEライン、唇のCカールが整い、食べる・咬む・いびきといった機能まで改善できることもあります。
3、受け口・顎が長い
あごの骨が大きすぎる場合も唇が閉じにくくなります。骨格が大きかったり前に出ているだけでかみ合わせに問題がなければ《オトガイ形成》《Vライン形成》であご先の骨の形を整えれば口元が閉じやすくなります。
骨格が出ているだけでなく上下のかみあわせも合っていない《下顎前突(顎変形症)》であれば《下顎枝矢状分割術(SSRO・BSSO)》や《上下顎骨切り術(両顎手術)》で口元を閉じやすく、見た目だけでなく咬む、食べるなどの機能も改善させることができます。
4、上あごが長い
笑うと上の歯肉が目立つ《ガミースマイル》なら上あごの骨格が長い可能性があります。上あごとは上の歯肉やその周囲にある《上顎骨》のことです。上あごの骨を縦方向に短くする《ルフォーⅠ型骨切り術》で歯肉を見えにくくし、口を閉じやすくすることができます。中顔面の余白や面長感も改善されます。
余分な力が入らずリラックスした口元が美しい表情のポイントです。

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信
魅力的な口元とは?

証明写真をとるときには真顔で歯を見せないことが多いのではないでしょうか。笑ったときに手で口もとを隠すくせのある若い女性タレントもときどき見かけます。人前で歯を見せて笑う文化のなかった日本では「歯の見え方」に対して気をつかうことは少なかったようです。反対に笑うときは歯を見せるよう教えられ、パスポート写真を撮るときですら「smile!」と呼びかける欧米では「歯の見せ方」にこだわって歯科矯正などの治療がおこなわれてきた長い歴史があります。「どうやって魅力的でヘルシーな口元を演出するか」という考え方がかみ合わせや口元の治療を大きく発展させてきました。
日本では「歯の見え方」を意識することが少なかったこともあり、歯の見え方や顔全体の印象を良くするための治療はほとんどおこなわれてきませんでした。このような背景から《ルフォー》、《SSRO》とよばれるような外科矯正治療も見た目への配慮はなされることなく「かみ合わせをあわせること」だけを目的として行われてきました。
歯を見せて笑う欧米の文化が広がり、口元の健康と見た目への意識が変わったことやインターネットを介した情報収集が可能になったこともあいまって、これからの外科矯正には「かみ合わせだけ」でなく「かみ合わせを含む顔の表情」まで治療することが求められています。顔を見ることなくレントゲン解析だけでおこなったプランニングにはおのずと限界があります。レントゲンには写らない顔全体のバランスをみる必要があるからです。
「かみ合わせが合っているから」「単なる見た目の問題だから」という理由で矯正歯科でも手術という選択肢を提案されないことすらあります。実は、健康保険による顎変形症手術には「かみ合わせがあっている場合には手術をしない」というルールがあるからです。本来、かみ合わせだけでなく口元やあごの突出感、あご先の後退感、笑ったときに前歯の歯肉が見えすぎる「gummy smile(ガミースマイル)」など口元や輪郭の見た目で悩まれるのであれば手術による顎骨の治療は選択肢であるべきです。


監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信