顔のクリニック金沢

COLUMN

コラム

目の下のくま
タイプ別の治療法

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目の下のくまは原因によってタイプが異なります。

正しい診断に基づく治療によって最小限の手術で自然な改善が可能です。

ふくらみと影に着目して分類した3つのタイプと、それぞれに適した治療法について説明します。

 

 

 

Type1:脂肪のふくらみのみ 

→ 余分な脂肪を除去する 脱脂(眼窩脂肪切除)

 

Type2:ハの字の影のみ 

→ 影のくいこみを改善する 裏ハムラ(経結膜下眼瞼形成術)

 

Type3:ふくらみ+ハの字の影

→ リガメントの切り離し+脂肪移動による 裏ハムラ法 or 切開ハムラ法

目元の状態に応じて最適な手術法を選択することで自然な仕上がりを目指します。

 

 

 

◎Type2の症例◎

目の下のハの字状の影を主訴に来院されました。

脂肪のふくらみはなく、影によるくまのみが目立つタイプです。

影の改善を目的に裏ハムラ法を選択しました。

 

術後は自然な目元の立体感が回復し、目もとの印象が明るくなりました。

状態にあわせて適切な治療を選ぶことが大切なポイントです。

 

頬のボリューム不足がありましたが脂肪注入はおこなわず、頬の丸みを引きあげて固定する「ミッドチークリフト」を併用しました。きれいな頬のまるみが形成されています。

 

 

 

 

◎Type3の症例◎

目の下の脂肪のふくらみとハの字状の影の両方があるタイプです。

このタイプには、リガメントの切り離しと脂肪移動を同時に行うハムラ法(下眼瞼形成術)が適しています。

年齢と皮膚のたるみを考慮して経皮法(切開ハムラ)を選択しました。

 

術後は、ふくらみや影がなくなりフラットに。

自然で明るい印象の目元を取り戻すことができました。

 

 

【費用について】

料金表をご参照ください。

※手術費用のほかに局所麻酔検査費用もしくは全身麻酔検査費用と全身麻酔の費用がかかります。

※ミッドチークリフトの費用は各手術費用に含まれます。

 

【起こりうる合併症、リスク、副作用】

術中術後出血、感染、角結膜炎、結膜下出血、他

※厚生労働省のガイドラインに準拠して術前・術後の写真を掲載しています。

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

 

 

【執筆および担当医について】

上記の症例を担当、本コラムを執筆した形成外科医はともに十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。

《外科医》 山下明子

日本形成外科学会専門医

日本美容外科学会(JSAPS)専門医

 

「リッドチークブレンディング」で
頬と下まぶたの境界をなくす

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「リッドチークブレンディング (Lid-cheek Blending) 」は顔のクリニック金沢のくま治療のコンセプトです。

くまの原因となっている「下まぶた」と「頬」の境界をなくすことで影ができないようにするアプローチです。ここでの「頬」は目の下あたりの笑ったときに丸くふくらむ部分をさしています。

「目の下のくま・ふくらみを構成する面」とその下の「頬の丸みの面」その境界にある「靱帯(リガメント)」による「線状の食い込み」の3つにアプローチすることでふたつの面をなめらかにつなげるという考え方です。

 

 

 

リッドチークブレンディングの基本

リッドチークブレンディングの基本はくまの原因となっている「靱帯(リガメント)」の食い込みをなくし、脂肪を移動させることでフラットに整える「下眼瞼形成術(裏ハムラ)」です。

 

ここでポイントになってくるのが頬の丸み(ボリューム)がどれくらいあるかと、いわゆる「出目」「奥目」といわれる骨格の問題です。

 

 

 

頬の丸みがある場合

頬の丸みがしっかりとあるタイプでは「裏ハムラ」のみで十分にきれいな形ができます。出目でも奥目でもないニュートラルタイプだったため骨格の影響も受けにくい症例でした。

 

 

 

頬の丸みが小さい場合

頬の丸みがやや小さく、わずかに眼球のほうが前に出ている「出目」タイプです。裏ハムラだけではなめらかに頬につながるカーブができにくいため、「ミッドチークリフト(頬リフト)」をおこなっています。

自然な頬のまるみが形成され脂肪注入なしでもきれいに面がつながっています。

 

 

 

ミッドチークリフトについて

ミッドチークリフト(頬リフト)が有効なのは

◎頬のまるみが小さいタイプ

◎出目タイプ

など裏ハムラだけではなんとなく影感が残ってしまうタイプです。

 

頬の脂肪を引きあげて眼窩縁に固定することで頬を自然にリフトアップします。

固定はすべて内固定(表面に糸や傷ができない方法)でおこなっています。

糸リフトと違って直接固定しているため持続性が高いことがメリットです。

ミッドチークリフト(頬リフト)は裏ハムラのオプションですが、手技自体はそれほど難しくなく、要する時間も短いため顔のクリニック金沢では術前もしくは術中に必要と判断した場合は追加費用なしでミッドチークリフトをおこなっています。

 

 

 

頬の丸みがほとんどない場合

頬のまるみがほとんどないか「ゴルゴ線」「ミッドチークグルーブ(mid cheek groove)」といわれる頬中央の溝があるタイプではボリュームがミッドチークリフト(頬リフト)だけでは足りないため、脂肪注入をおすすめすることもあります。

顔のクリニック金沢ではくまの手術の約5%程度で脂肪注入を併用しています。少ないと感じられるかもしれませんが、本当に脂肪注入まで必要と考えられる症例は実はそれほどは多くありません。

脂肪注入をおこなうメリットは同時にほうれい線、頬骨下のくぼみ、こめかみなどのボリュームアップができることです。顔のふっくら感が足りないと感じるようなら同時に受けられることをおすすめしています。

脂肪注入には追加の費用がかかりますが、ある程度の量をこえてくるとヒアルロン酸よりも負担が少なく受けられることもありますので、くまの治療と同時に顔のボリュームアップを希望される場合はご相談ください。

 

 

 

執筆

山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko

顔のクリニック金沢 院長

経歴:岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師

専門医資格等:

日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師

 

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

目の下のくま手術の修正について

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目の下のくま取り手術が普及し、治療を受けられるクリニックが多くなったためでしょうか、目の下のくま手術を受けられたあとの修正相談がとても多くなりました。

 

よくある修正相談内容や、根本的な治療ができるかどうか、根本的な修正が難しい場合の対処法などについて説明します。

 

 

 

 

修正相談の例

①脂肪を取りすぎて目の下がへこんだ

②目の下にしこりがある

③笑ったときに目の下にふくらみができる

④手術のあともくまが残っている

⑤目の下がむくんだようになっている

⑥注入した脂肪が片方だけ定着しなかった

⑦下まぶたがゆるくなった

 

 

 

 

ケース①脂肪を取りすぎて目の下がへこんだ

くま取り手術のなかでも眼球のまわりにある「眼窩脂肪」を切除する「眼窩脂肪切除(通称:脱脂)」のあとに多いパターンです。「ふくらみぐま」をなくすために脂肪を適量切除することはとても効果的なのですが、取り過ぎてしまうと目の下や場合によっては目の上までくぼんでしまうこともあります。

 

対処法:

取りすぎた脂肪をもとのボリュームに戻す根本的な治療法はないため、くぼみをめだたなくする「対症療法」をおこないます。脂肪やヒアルロン酸の注入でボリュームをおぎないくぼみをカムフラージュします

 

脂肪注入でカムフラージュする場合

目の下はくま部分の皮膚がうすいため、脂肪を注入するとデコボコになってしまったり、定着に左右差ができてしまうことがあるため注意が必要です。

脂肪注入は微調整ができません。

これは、脂肪がどのくらい定着するかを正確にコントロールする方法がないためです。「経験豊富な医師なら微調整ができる」「技術が高ければいい結果になる 」「特別な脂肪(コンデンスリッチ、ナノファット、幹細胞など)ならよくなる」ということは残念ながらありません。また、定着が不安定で吸収されて減ってしまうからといって多めに注入すると目の下がふくらみすぎたり笑ったときに不自然なふくらみができる原因となりますので、目の下での多めの注入は絶対に避けるべきです。

このような理由から顔のクリニック金沢では下まつげのきわからくまの溝(ティアトラフ)までの皮膚のうすいエリアへの脂肪注入はおすすめしていません。

目の下で脂肪注入が有効なのは頬のボリュームを足すことでくまが目立たなくなるような骨格をされている場合です。くまの影(ティアトラフ、ハの字の影)より下に脂肪を注入して頬をリフトアップしてくまをカムフラージュします。

 

ヒアルロン酸注入でカムフラージュする場合

目の下のくぼみをヒアルロン酸で補正する場合も脂肪注入と同じように皮膚の薄い部分への注入はおすすめしません。チンダル現象(うすい皮膚からヒアルロン酸が透けて青くみえてしまう現象)を避けるためです。

おすすめの注入法は、まず頬の丸み部分のボリュームをアップして、くぼみをあさくしておいてから、ティアトラフ部分にとてもやわらかいヒアルロン酸をごく少量注入する方法です。ヒアルロン酸は微調整がしやすいためティアトラフ部分への注入が可能です。ごく少量ならチンダル現象も起きにくくなります。また、「ある程度の経験や技術があればいい結果になる」ことが期待できます。

 

 

 

 

ケース②目の下にしこりがある

目の下にしこりがあるのは脂肪を移動させる下眼瞼形成術(通称:ハムラ法、切開ハムラ、裏ハムラなど)を受けた場合と、目の下に脂肪注入をした場合です。

 

対処法:いずれの場合も手術直後は移動させた脂肪や注入した脂肪がしこりのように触れることがあるため、まずは半年様子をみるようおすすめします。

半年以上たってもしこりがあっても、触ったときにしこりがあるだけで見た目に凹凸としてわからない、痛みなどの不都合がない、といった場合は特に何もする必要はありません(笑ったときだけふくらみが目立つ場合については次のケース③をご参照ください)。

半年以上たって見た目にもデコボコしているようなら修正の対象となります。移動させた脂肪は深いところにあるためデコボコの原因にはなりづらく、注入した脂肪がしこりになっていることが多いため、その対処法について説明します。

しこりになっている脂肪が炎症や感染を引き起こし痛みや腫れがあるようならしこりを取り除く手術や抗生剤の処方をおこないます。痛みや腫れがある場合炎症がおさまることでしこりが目立たなくなると思われます。

炎症がない場合はしこりを除去するか、しこりのまわりにボリュームを追加してカムフラージュするかの2択になりますが、よほど大きいしこりでない限り、適量除去してちょうどよく平らに調整するのは難しく、逆にデコボコになってしまうリスクもあります。修正を希望される場合はカムフラージュ治療をおすすめします。ヒアルロン酸や脂肪をしこりのまわりに注入してなじませます。

 

 

 

 

ケース③笑ったときに目の下にふくらみができる

笑ったときだけ目の下にふくらみができるのは、ティアトラフ部分に脂肪注入したためと考えられます。ティアトラフ部分の浅い部分だけに脂肪を注入すると周囲との段差ができてしまい、笑ったときにそれが目立つことがあります。

対処法:注入された脂肪を吸引して減らしたり、適量を切除するというのは難しく、逆にデコボコになるリスクが高くなります。

修正を希望される場合はパターン②と同じようにカムフラージュ治療をおすすめします。笑ったときのふくらみ周囲に注入してなじませることでふくらみをめだたなくすることができます。

 

 

ケース④手術のあともくまが残っている

眼窩脂肪切除(脱脂)、下眼瞼形成術(ハムラ法、切開ハムラ、裏ハムラ)どのくまとり手術でも起こりえる症状です。典型的なパターンは皮膚を切開しない下眼瞼形成術(裏ハムラ)のあとにティアトラフとよばれる溝の一部が残っている例です。

対処法:治療前よりはよくなっていることが多いため、ハムラ法をやり直すような根本治療まで希望されることは少ないのですが、ハムラ法をやり直す場合は前の手術の影響で難易度が高くなります。

手術以外で補正する場合はごく少量のヒアルロン酸注入や肌のハリ改善治療になります。

 

 

 

 

ケース⑤目の下がむくんだようになっている

めのしたがむくっとふくらんだ感じになり、くまは消えているけどふくらみ感が気になるという方がおられます。全体がふくらんでいてもあまり気にならないようであればもちろん修正は必要ありません。

 

対処法:目の下が全体にもこっとして気になるという場合は、受けた治療の内容と現在の状態から原因をつきとめて最適な方法を選択する必要があります。

たとえばくまの治療としてPRP注入を受けたあと目の下がむくんだようにふくれているという例では、ふくらみ部分にあるしこり(PRP治療でできたしこり)を切除して皮膚を切開する下眼瞼形成術(切開ハムラ)による修正をおこないました。

 

 

ケース⑥注入した脂肪が片方だけ定着しなかった

定着の左右差に対しての修正は定着が足りない側に脂肪を追加するか、ヒアルロン酸で補正するかのいずれかです。

 

そもそも脂肪注入では定着量を正確にコントロールすることができないため、目の下のような繊細な調整が必要な部分には向いていない治療法です。ダウンタイムを軽く、費用をできるだけ少なくしたいということであれば眼窩脂肪切除(脱脂)+ヒアルロン酸注入の組み合わせをおすすめします。

 

 

ケース⑦下まぶたがゆるくなった

皮膚を切開する下眼瞼形成術(切開ハムラ)にみられやすい合併症です。手術直後の一時的なものであれば数日から2か月以内に改善しますが、それ以上改善しない場合には修正術の適応となります。

 

対処法:修正術には2つの方法があります。

・糸で目尻をひきあげる「canthopexy」

・目尻の形を形成してゆるみをとる「canthoplasty」

 

このような合併症をおこさないために、あらかじめ下まぶたのゆるみをチェックし、下まぶたのゆるみがあればくまの手術と同時に「canthopexy」などを行っておくと安心です。

ゆるみのチェック方法は2つあります。

・下まぶたをあかんべえをするように引き下げて、手を離してからもとの位置(眼球にくっつくところ)に戻るまでの時間をチェックする「スナップバックテスト」→瞬時に戻らない場合は高リスク

 

・下まぶたを眼球から離れる方向に引っ張ってどれくらい眼球から離れるかをみる「ピンチテスト」→8ミリ以上離れるなら高リスク

自分でも簡単にできるチェック方法なのでくま手術を考えているならいちどチェックしてみることをおすすめします。

 

 

くま手術の修正相談では、複数の症状が組み合わさっている場合もあるため、手術をやりなおすなどの根本的な治療になると手術自体の難易度も高くなり、費用も高額になってしまいます。

 

また、根本的な治療ができない場合や、根治まで希望されない場合にはカムフラージュ治療のように目立たなくする方法をとるしかないこともあります。

 

気軽に受けることのできる「切らないくま治療」であっても、受けるまえに自分に合った施術かなどよく検討することが失敗をふせぐための最大の対策といえます。

 

関連コラム:

【症例】目の下のくま取り(裏ハムラ)とダウンタイムについて

比べて納得、切開ハムラと裏ハムラ

 

 

執筆

山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko

顔のクリニック金沢 院長

経歴:

岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師

専門医資格等:

日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師

 

 

 

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10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.