顔のクリニック金沢

COLUMN

コラム

【学術活動】
『顎矯正治療を通して「顔」を考える:
軟部組織変化と整容性をめぐって』

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第43回日本頭蓋顎顔面外科学会 参加報告

今回は慈恵医科大学形成外科学講座主催ということもあり、頭蓋顎顔面手術と耳鼻科や睡眠外科をつなぐ興味深いトピックが多く取り上げられていました。

 

 

●パネルディスカッション4

テーマ:最新の顎矯正治療 ー心地よい顔のバランスを求めてー

『顎矯正治療を通して「顔」を考える:軟部組織変化と整容性をめぐって』

内容:口元の軟部組織と骨格の関係、表情による歯の見え方、顔面非対称、鼻の変化、全体の調和といった面から最終的な整容性を得るために必要なポイントを考察しました。

 

 

 

 

●11月20日イブニングセミナー

『骨接合システムを通してみる頭蓋顔面外科手術の実際』

KLSマーチンジャパン株式会社共催

内容:骨切り手術におけるチタンプレートシステム、吸収性プレート(ソニックウェルド)、骨延長器によるさまざまな骨接合のテクニックを多くの動画とともに供覧しました。

 

 

 

【お知らせ】

 

12月に開催される日本ストライカー株式会社の

『形成外科医のための顎顔面セミナー』

講義、ディスカッションとワークショップ、受講生、講師との懇親会もあり。

セファロ解析やプランニングを系統的に学ぶよい機会です。

あと若干名参加可能とのことです。

あごの突出感を改善させるための
3つの術式

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あごの突出感を改善させる3つの術式

あごの長さや前に出た感じからくるあごの突出感、いわゆる「しゃくれ感」を改善させるためにおこなわれる骨切り術には3つの術式があります。

 

1.オトガイ形成術

2.下顎枝矢状分割骨切り術

3.上下顎骨切り術

変化の大きさは オトガイ形成術<下顎枝矢状分割骨切り術<上下顎骨切り術 の順です。

それぞれの特徴、メリット、デメリットについて実際の症例写真とともに解説いたします。

 

 

 

1.オトガイ形成術

あご先の部分を医学用語では「オトガイ(頤)」とよびます。あご先の形を変える手術が「オトガイ形成術」です。あご先の長さ(長く・そのまま・短く)と、前後位置(前に出す・そのまま・後ろに下げる)をそれぞれ調整できますが、希望されることが多いのは下記の3パターンです。

①長さ:短く/前後位置:そのまま

②長さ:短く/前後位置:前に出す

③長さ:そのまま/前後位置:前に出す(上の図)

このうちあごの突出感を改善する目的でおこなうバリエーションは①です。前後位置を後ろに下げることも可能ですが、「オトガイ形成術」であご先の骨だけを後方に移動させても軟部組織がついてこなかったり、たるみがめだってしまうなど結果がよくないためあまり行われません。症例によっては②のように少し前に出すことでたるみ感を解消させることもあります。

 

【CASE1】20代女性:あご先の長さが気になる。あごを短くしたい。

かみあわせや全体の骨格に対する口元のバランスは非常によかったため、あご先の骨のボリュームだけを減らしてあご先を短くするオトガイ形成術を提案しました。

手術の内容:オトガイ形成(中抜き+わずかに前進、Vライン形成、外板削除)

上記の②(長さ:短く/前後位置:前に)に相当します。わずかに前進させることでたるみを最小限にしつつ、横顔のEラインが整うように微調整しています。

メリット:かみあわせが変化しないため歯科矯正治療が必要ない。

デメリット:短縮量が大きいとたるみ感を生じることがある。神経の位置などにより短縮できる量に制限がある。

 

 

 

2.下顎枝矢状分割骨切り術

あご先だけでなく下顎全体を移動させる術式です。後ろに下げたり回転をかけることであごの突出感を改善することができます。オトガイ形成よりも変化は大きくなります。適応は反対咬合などかみ合わせが合っていない場合です。もともとかみ合わせがぴったりあっている方は適応になりません。術後はかみ合わせが変化するため、術前、術後の矯正治療がほとんどの例で必要になります。

 

【CASE2】20代女性:かみ合わせの治療を受けたい。

この症例は「上下顎骨切り術」または「下顎矢状分割骨切り術」いずれもよい適応と考えられました。左右差やあごの前突感を完全に解消するには上下顎骨切り術がよいことを説明のうえ治療法をご自身で選んでいただくよう提案しました。

ご本人の選択により「下顎矢状分割骨切り術」での手術をおこないました。術前矯正をほとんどおこなわない自由診療の「サージャリーファースト法」でおこなっています。

手術の内容:下顎矢状分割骨切り術

メリット:かみ合わせの治療が同時にできる。矯正期間が短いことによって身体的、整容的負担が少ない。

デメリット:適応や移動量がいまのかみ合わせの状態によって制限される。サージャリーファースト法を適応できる例は限られる。あごの突出感を完全に解消できない例もある。

 

 

 

3.上下顎骨切り術

上顎、下顎をそれぞれ移動させて適切な位置に固定する手術です。かみあわせが合っていても合っていなくても適応できるため最も自由度が高い手術になります。面長感、あごの突出感などを大きく変化させることができます。オトガイ形成を併用することであご先の突出した形まで完全になくすことも可能です。

 

この術式に年齢制限はありませんが、30代以上であごの突出感、面長感を改善させるような骨切り術では、術後のたるみ(皮膚の余り感)が必ず生じるため、アフターケアとしてのたるみ治療を検討する必要があります。ハイフ、フェイスリフトなどがよい適応です。

 

【CASE3】40代女性 あごの突出感が気になる。

手術の内容:上下顎骨切り術(時計回転)+オトガイ形成(4㎜中抜き)

かみ合わせは一部合っていない状態であり、かみ合わせの調整と輪郭、顎の突出感を同時に解消する手術プランとなりました。

メリット:どんなかみあわせでも適応できる。上顎、下顎をある程度自由に希望する位置に移動させることができる。上顎の短縮などにより歯肉のみえるガミースマイルの改善など歯の見え方を調整できる。オトガイ形成を併用することであごの突出感を完全になくすことができる。

デメリット:手術による身体的、費用的な負担が大きい。

 

 

 

【手術の適応について】

今回ご紹介した3症例はいずれも背景や希望される変化の程度などが異なります。このため、どの術式のほうがよい、といった単純な比較はできません。そもそもそれぞれの術式が適しているかを意味する「適応」がある、ないによっても治療の方針は変わってきます。

当院では形成外科および頭蓋顎顔面外科専門医がいまの状態とどの程度変化させたいかについてのご希望を伺ったうえで、必要に応じて検査や提携歯科での診察をおこない、できるだけご希望に沿った結果となるような治療法を選択いただけるよう具体的な治療プランをご提案しています。

カウンセリングは火曜日、土曜日となっています。ご予約を希望される場合はお電話でのご連絡をお願いいたします。

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. 〜 18:00 p.m.

 

 

 

【担当医について】

本コラムの症例を担当した外科医、麻酔科医はともに十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。

《外科医》 山下昌信

日本形成外科学会専門医 頭蓋顎顔面外科専門医 日本美容外科学会(JSAPS)専門医

《麻酔科医》 日高康治

日本麻酔科学会専門医

 

 

 

【費用について】

●料金表をみる

※手術費用のほかに麻酔料(全身麻酔)、検査料がかかります。

※下顎骨切り術、上下顎骨切り術は提携医療機関で入院のうえ治療をおこなっています。下顎骨切り術、上下顎骨切り術については料金表の手術費用にそれぞれ規定日数の入院費用が含まれます。

※手術方法はお一人おひとりの状態やご希望により異なります。手術を希望される場合や、費用のお見積りを希望される場合、まずは当院で担当医の診察をお受けいただくようお願いいたします。

 

【起こりうる合併症、リスク、副作用】

感染、血腫、ご自身の術後イメージと手術の結果が一致しないことがある、他

 

 

 

 

※費用はすべて消費税込みで表示しています。

※厚生労働省のガイドラインに準拠して治療の詳しい内容、費用、合併症等を記載したうえで、 術前・術後の写真を掲載しています。

 

監修:顔のクリニック金沢、金沢医科大学形成外科 医師 山下 昌信

くま取り手術の
アフターケアとメンテナンス

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 くま取り手術のアフターケアとメンテナンスについて

眼窩脂肪切除(脱脂)や下眼瞼形成術(ハムラ法/経結膜法・経皮法)によるくま取りは、目元を若々しく見せる効果的な治療です。

 

しかし、残念ながら手術を受けたとしても一生メンテナンスが不要になるというわけではありません。年齢を重ねるにつれて、皮膚の厚みやハリの変化、脂肪の位置やバランスの変化などによって新たな悩みが出てくることもあります。

 

ここでは、くま取り手術後に起こりやすいお悩みと、それに合わせたアフターケア・メンテナンス方法をご紹介します。

 

 

 

 

① 小じわ


脂肪の膨らみが改善されることで、かえって皮膚の余剰や菲薄化が目立ち、小じわが気になることがあります。小じわが目立ちやすいのはもともとふくらんでいたところで、とくに目尻側のほうがめだちやすい傾向があります。

▶おすすめの治療法

  • フラクショナルレーザー
    皮膚に細かい穴を開け、そこに熱を加えることで傷や熱によるダメージから回復する際にコラーゲンの再生を促されることで小じわを改善します。

  • 小じわ用のヒアルロン酸注入
    ごく少量のやわらかいヒアルロン酸を細かく注入することで、ちりめんジワをなめらかにします。

  • レチノールによるスキンケア
    ビタミンA誘導体のレチノールは、皮膚のターンオーバーを促し、日常的なケアとして小じわ予防に効果的です。

 

◎マドンナリフトによる小じわ治療例

起こりうる合併症、リスク、副作用:赤み、腫れ、色素沈着、肝斑の悪化、他

費用について

※厚生労働省のガイドラインに準拠して術前・術後の写真を掲載しています。

関連コラム:切らずにまぶたのたるみとり「マドンナリフト」

 

 

 

 

② 笑いじわ(表情じわ)


手術による直接の影響ではありませんが、目立っていた目の下のくまが気にならなくなったことでこんどは目まわりの笑いじわが気になるようになることがあります。

笑いじわが目立ちやすいのは目尻と目頭の下です。

▶おすすめの治療法

  • ボツリヌストキシン注射
    表情筋の動きをやわらげ、笑ったときに出るシワを目立ちにくくします。自然な笑顔を残しながら調整可能です。

◎ボツリヌストキシンによる目じりの笑いじわ治療例

起こりうる合併症、リスク、副作用:内出血、腫れ、一時的な違和感、他

費用について

※厚生労働省のガイドラインに準拠して術前・術後の写真を掲載しています。

 

 

 

 

③ ふくらみ・くぼみ

腫れているときはそれほどめだたなかったふくらみが手術後しばらくして再びふくらんで気になることがあります。また、ティアトラフとよばれる影の部分の皮膚にのこる折れぐせなどがわずかなくぼみとしてのこっていて気になる、もともと頬のボリュームが少なかったのが目立って気になるなどのパターンもあります。

ふくらみが気になりやすいのは目尻の下側、くぼみが目立ちやすいのは鼻横〜目のすこし下あたりです。まれに脂肪を取りすぎた場合に目の下がくぼんでしまうことがあり、この場合はもともと脂肪が出てふくれていた部分(目のすぐ下、上記のイラストのくぼみと記載がある部分よりも目に近いところになります)がくぼみます。

▶おすすめの治療法

  • ふくらみが気になる場合
    脂肪を追加で切除することで改善します。

  • くぼみが気になる場合
    脂肪注入:ご自身の脂肪を注入し、自然なボリュームを補います。
    ヒアルロン酸注入:手軽にボリュームを出すことができ、ダウンタイムも短めです。

◎ヒアルロン酸によるティアトラフのくぼみ治療例

起こりうる合併症、リスク、副作用:内出血、腫れ、血行障害、塞栓、他

費用について

※厚生労働省のガイドラインに準拠して術前・術後の写真を掲載しています。

 

 

 

 

まとめ

くま取り手術は、一度で大きな効果を実感できる治療ですが、その後の経過によって小じわや笑いじわ、ふくらみやくぼみが気になることもあります。
アフターケアを上手に取り入れることで、より長く自然で若々しい目元を維持することができます。

術後のフォローアップやメンテナンス治療についてもご相談いただけますので、気になることがあればお気軽にご相談ください。

 

 

 

【費用について】

料金表をご参照ください。

※顔のクリニック金沢ではくま取り手術(眼窩脂肪切除、下眼瞼形成術)後のふくらみの追加切除について、手術後1年以内であれば無料でおこなっています。術後の経過で気になるところがある場合は遠慮なくご相談ください。

 

お問い合わせ・ご予約

TEL 076-239-0039

10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.

 

 

 

【執筆および担当医について】

上記の症例を担当、本コラムを執筆した形成外科医は十分な経験と知識を有するエキスパートにのみ与えられる日本専門医機構および各学会の専門医です。

《外科医》 山下明子

日本形成外科学会専門医

日本美容外科学会(JSAPS)専門医

米国形成外科学会 国際会員