顔のクリニック金沢

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コラム

顎変形症で手術を受ける理由

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顎変形症で手術を受ける理由

歯科矯正治療の進歩により、手術を受けなければ噛み合わせがあわないという方は今後ますます減少することでしょう。「噛み合わせをあわせるためだけの手術」は必要なくなりますし、それはそれで喜ばしいことです。

顎骨手術には、「歯科矯正治療」あるいは「噛み合わせをあわせるだけの手術」ではけっして得られることのない多くのメリットがあります。

その一つが「顔の見た目の改善」です。

 

顎骨手術による「顔の見た目の改善」

顎変形症治療で当院を受診される方の多くが、実は「以前に歯科矯正治療を受けていた」あるいは「外科手術を受けた」方々です。ご自身が治療を希望した「悩み」と歯科矯正あるいは手術治療の「治療ゴール」が共有されることなく、その結果、

 

「噛み合わせはあったけど何となく下顎の前突感が残っている」

 

「歯は綺麗にそろったけど口元全体の突出が残っている」

 

とお悩みの方はけっして少なくありません。

噛み合わせの治療が終了後も種々の整容的悩みをお持ちの方は、どうぞ当院でご相談下さい

口元の基準 incisal show

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「incisal show」

顎骨の手術で上顎の位置を決定する際に最も重要視するのが「incisal show」(インサイザルショウ、上顎の歯牙露出度)です。唇の力を抜いたときに正面から見える切歯(前歯)の量を「incisal show at rest」といい、大きく笑ったときのものは「incisal show at smile」といいます。適切な日本語訳は今のところありません。

 

顎骨手術のうち、上顎の位置を変更する術式を「Le Fort I型骨切り術」といいます。見た目を考慮した手術で小顔を希望される方の中には、「Le Fort I型骨切り術」で上顎を何mm短くして欲しいとオーダーされることがあります。その場合、顔を1cm小さくしたい場合は上顎を1cm短くすればよいのでしょうか?

 

上顎を短縮する際に目安とするのが「incisal show」です。「incisal show at rest」の理想値は男性では2mm程度、女性ではもう少し大きく4mm程度といわれています。この値が小さくなると唇の力を抜いた自然な状態で歯が見えなくなり、男女ともに表情から若々しさが失われてしまいます。反対にこの値が大きい場合、特に男性では実年齢よりも若く見えすぎてしまいます(女性の歯牙露出が若々しく時にエレガントさも演出するのに対し、男性の過剰な歯牙露出は何となく軽くあるいは幼く見えてしまう原因になります)。手術による上顎の短縮量はこの「incisal show」 を適正化することで決定されます。

 

 

「incisal show at smile」

笑ったときの歯牙露出度「incisal show at smile」は、男性女性ともに「full crown」(切歯がすべて見える状態)が望ましいとされます。「incisal show at smile」の値が大きくなると、歯肉が見えすぎる「gummy smile(ガミースマイル)」と呼ばれ、その程度によっては個性の強い口元の見た目を呈します。過度な「gummy smile」に対しても「Le Fort I型骨切り術」による上顎の短縮が有効です。

 

 

「gummy smile」

では、安静時の歯牙露出度が適正であるのに、笑ったときの「gummy smile」があるときはどうすればよいのでしょうか? この場合、さらなる上顎の短縮はあまりおすすめしません。軽度の「gummy smile」は許容するかあるいはボトックス治療などの切らない治療方法が第一選択となります。年齢をかさねると骨格の萎縮により顔の皮膚軟部組織は多かれ少なかれ下垂します。いつまでも若々しさを保ちたいのであれば「incisal show」を考慮しない上顎の切りすぎは避けるのが無難です。

 

答え:多くの方にとって1cmは切りすぎです。

健康的な口元について

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日本ではポートレイト写真に写る際には難しい表情で口を一文字に閉じるのが一般的でした。手で口もとを隠すようにして笑うくせのある方もときどき見かけます。このように人前で歯を見せて笑う文化のなかった日本では、欧米のように「歯の見え方」にこだわり「いかに健康的な口元を演出するか」といった考え方はあまりされてきませんでした。同じ考え方から外科矯正治療でも、「かみ合わせをあわせること」だけを目的として手術が行われてきました。

 

口元の健康と整容性に対する意識の向上もあいまって、現代の外科矯正には「かみ合わせだけ」の治療から「かみ合わせを含む顔の表情」の治療であることが求められています。これまでのレントゲン解析だけに依存したプランニングでは自ずと限界があります。レントゲンには写らない顔全体のバランスをみる必要があるからです。

 

矯正治療では「かみ合わせが合っているから」「単なる見た目の問題だから」という理由で手術による治療を提案されないことがあります。健康保険による顎変形症手術では、「かみ合わせがあっている場合には手術をしない」というルールがあるからです。かみ合わせだけを整えるのであればそれでもいいのかもしれませんが、かみ合わせだけでなく口元やあごの突出感、あご先の後退感、笑ったときに前歯の歯肉が見えすぎる「gummy smile」などで悩んでいる方にとっても手術による顎骨の治療は選択肢であるべきです。