【学術活動】埋没法のデザインと手技
●JSAPS美容外科学会報告
【埋没法についてのパネルディスカッション】
はじめておこなった埋没法と現在おこなっている埋没法の手技の違い、各演者がこだわっているポイントなどについて口演とディスカッションが行われました。
【要約】
なりたいふたえの形にあわせたデザインで、ライン上に2点(または4点)の針穴をあけ、まぶたの裏から糸を通してきつすぎないよう糸を結びます。結び目はめだたないように皮下にうめこみます。
デザインは無理のない形、幅であればどのような形でも問題ありませんが、もともと左右差が気になっているようならデザインに工夫が必要です。
ふたえの左右差の原因:
・開瞼の程度(目のひらきぐあい)の左右差
・内眼角贅皮の緊張(めがしらのもうこひだのつっぱり)の左右差
・骨格の左右差
とくに骨格の左右差があるようなら、幅の微調整が必要です。みためのふたえがそろうようにあえて糸をかける幅をかえたり、仮縫いで形をチェックするなどの方法があります。
手技はできるだけシンプルに、トラブルをおこさないことが大切。
術式をできるだけシンプルにすることが埋没法のメリットを最大限に生かすことになります。
埋没糸によるトラブルを避けるため下記に注意。
・角膜の損傷→糸が裏に露出しない方法、結び目が裏に露出しない方法がよい
・霰粒腫(めもらい)の既往→めもらいをくり返している人では埋没法によるトラブルが起きやすいかもしれない(しこりになる、赤く腫れるなど)
・瞼板の変形→瞼板(まぶたにあるかたい支持組織)がうまれつきやわらかい人で瞼板法(瞼板に糸を通す)やきつい糸の結び方をすると瞼板が変形してコロコロするなどの違和感がつづくかもしれない。
《ディスカッション》
・使用している糸と結び方について
・糸のかけかたについて
・糸の露出について(皮膚側、結膜側)
・各方法の抜糸のしやすさについて
2022年1月15日(土) 第 143 回日本美容外科学会学術集会、シンポジウムにて口演
執筆
山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko
顔のクリニック金沢 院長
経歴:
岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師
形成外科 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師
自然で美しいまぶたのカーブ
眼瞼下垂の治療や目を大きく見せるための《挙筋前転法》では、
まぶたのカーブのピーク位置はまぶたを支持する軟骨のような組織《瞼板》に《眼瞼挙筋腱膜》を固定する位置で決まります。
自然で美しいまぶたのカーブは黒目の中央がピークになる形といわれています。
わずかに内側をピークにすると丸くかわいらしい目元に
わずかに外側をピークにするとすこし大人っぽくクールな印象になります。
黒目の範囲より外側がピークになるとけわしい目つきといった印象を与えることがあるため、極端に外側がピークになる形はおすすめしません。
実際の手術では黒目の真ん中、瞳孔を目安に固定位置を決定しますが、《瞼板》の硬さや形はひとりひとりちがうため、《眼瞼挙筋腱膜》の固定位置が正しいかは実際に固定をするごとに形を確認する必要があります。
顔のクリニック金沢では手術中にまぶたの写真を撮影し、拡大画面で確認しています。これによりまぶたの開き、ピーク、まぶたの形をできるだけ希望に合うよう精密に調整することが可能となります。
お問い合わせ・ご予約
TEL 076-239-0039
10:00 a.m. ~ 18:00 p.m.
執筆
山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko
顔のクリニック金沢 院長
経歴:
岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師
形成外科 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師
ふたえ整形埋没法
ダウンタイムと過ごし方
糸だけでふたえのラインをとめる埋没法はダウンタイムが短いのがポイントです。それでも少しでも腫れたくないという方のために、ダウンタイムと過ごし方についてご説明します。
埋没法のダウンタイム
《腫れ》
手術の翌日、翌々日が腫れのピークでたくさん泣いた日の翌日くらいです。
術後1週間目までには腫れが目立たなくなります。完全におちつくのは2~4週間後です。
《ふたえの幅》
腫れている間はふたえの幅が広く見えます。はれがひいていくと少しずつ幅がおちついてきて、完全にはれが引くと手術のときに決めた幅になります。
《あざ》
あざ(内出血)がでることはほとんどありませんが、まれに麻酔のときなどに針が血管にあたってしまうと内出血がでることがあります。目もらいなどでこれまでにまぶたの手術をうけたことがあるとすこし確率が高くなります。
血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬など)を内服しているか血液が固まりにくい病気の方ではあざがでやすいです。
あざが出ても1~2週間ほどで吸収されて消えます。あとが残ることはありません。
《傷あと》
針穴がふたえのラインの部分にできます。ごく小さな針穴なので、縫う必要はありません。人によってはしばらく赤みや茶色っぽい色素沈着が気になることがありますが、数か月で目立たなくなります。
過ごし方の4つのポイント
1.無理をしない
・当日はソファなどでリラックスした姿勢で目をとじてできるだけ休む。
・夜眠るときは枕を高めにすると腫れにくい。
・翌日、翌々日は長風呂、運動などをひかえればそのあとは日常生活へ。
2.冷やしましょう
・当日は濡れたガーゼなどをあて、その上から保冷剤で冷やしてください。
※凍傷にならないよう冷やしすぎたりや保冷剤がじかに肌に当たらないよう注意してください
・翌日から3日目頃までは気持ちいいなと思う範囲で時々冷やす程度で十分。
3.お風呂や運動などはひかえて
・お風呂、運動、飲酒などで血行がよくなると腫れやすくなるので注意。
・当日と翌日は軽いシャワー程度に、運動や飲酒は控えましょう。
4.下を向かないように
・長時間下向きで作業する、本を読む、うつぶせ寝などは術後1週間は避けて。
ダウンタイムを乗り切るための準備
①メガネ・サングラス
・薄い色の入ったサングラスや縁が太めのメガネなど
・度の入っていない伊達メガネでも効果的
②前髪を長くする
・長めの前髪で自然に目元が隠れる
・手術まで時間があればのばしてみても
③まぶた用のコンシーラー、アイシャドウ
・内出血が気になるようならコンシーラーやアイシャドウでカムフラージュを
※手術から3日間はメイクの際、針穴部分を避けてください。
まとめ
埋没法はダウンタイムが短いのが最大のポイントです。
腫れが目立つのは手術の日を含めて3日程度です。
ふたえの幅は1か月から2~4週間で落ち着きます。
あざが出ることは少ないですが、出た場合消えるまで1~2週間かかります。
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執筆
山下 明子 医師
YAMASHITA, Akiko
顔のクリニック金沢 院長
経歴:
岐阜県出身
平成15年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業
同年 金沢医科大学形成外科入局
平成18年 産業医科大学形成外科留学
平成26年 金沢大学皮膚科形成外科診療班
平成29年 顔のクリニック金沢専任医師
形成外科 専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 専門医
金沢医科大学形成外科学 非常勤講師